SFDモード インプレッション

作品1

生きている姿を写真に封じ込める

「生きている姿を写真に封じ込める」作品

赤いシルクの布を背景にして真っ赤なばらの花を撮影した。シルク独特の柔らかい風合いを写真に写し撮ることは、ライティングなどを駆使してもなかなか難しいものだ。
しかし、SFDモードを使用して撮影すると、ギスギスとした硬い質感になりがちなシルクが、まるで直接布地を触っているかのように、柔らかくて滑らかな表情を見せてくれた。

そして、デジタル写真で撮影すると、作り物のように写ってしまうことが多い深紅のバラも、赤の素晴らしいグラデーションとビロードのようなバラの質感を写し撮って生きている姿を写真に封じ込めることが出来た。
もともと素晴らしい写りを見せてくれるsd Quattroだが、SFDモードを使用することによって、よりいっそう素晴らしい表現をしてくれた。

「完璧な白い世界」作品

完璧な白い世界

白いステンドグラスの上に白い食器、そして白い花を構成して窓から差し込んでくる弱い光を使って写真を撮ってみた。このような場合どうしても影の部分にノイズが乗ってきやすく、そのためにせっかくの白い世界を崩してしまいがちだ。しかし、SFDモードはノイズが気になることもなく完璧に白い世界を作りだしてくれた。見事な白のグラデーションが柔らかい花びらを余すことなく表現してくれた。触ると傷がついてしまいそうな柔らかい花びらの描写が心にしみ込んでくるようだ。

「SFDモード」作品1
SFDモード花芯の部分などに気になるノイズも無くキレイな花の表現になった。
「X3F」作品1
X3F花芯にノイズが感じられ、濁った感じがする。
「SFDモード」作品2
SFDモード白のグラデーションが素晴らしく、柔らかい花びらが表現出来た。
「X3F」作品2
X3F白のグラデーションは悪くないのだが若干硬さを感じてしまった。
「完璧な白い世界」作品

黒の世界を表現する

黒いベルベットの布を背景にして漆器を撮影してみた。漆はとても難しい被写体の一つで、特に黒の漆器はその表情を捕らえることは並大抵ではない。そして、それに加えて今回はあえて早朝の弱い窓からの光を利用して黒の中の黒を表現してみた。これは、デジタルカメラの限界に挑戦するようなシチュエーションだ。この状況を普通に撮影してしまうと、黒のベルベットの背景と黒の漆器が分離せず、同化してしまい器の実態も感じられなくなってしまう。ところが、SFDモードでは通常とても写りにくい黒の表情がかすかに浮かび上がり背景と分離してきた。これは、SFDモードで撮影するとダイナミックレンジがとても広くなり、潰れてしまいそうな黒の質感、そして、光を強く反射している部分は通常飛んでしまいそうだが、その白の質感を救い出してくれたからだ。それに加えてノイズも感じられずに黒の世界が表現出来た。

「SFDモード」作品1
SFDモードで撮影した場合、現像したデータをあくまでも素材として扱い、後からもう一度、どこまでシャドウが必要か、ハイライトをどこまで白くすれば良いかなどを考えて画像調整をする方が完成度の高い写真を作る事ができる。
現像時は基本的にAUTOで現像することがよりダイナミックレンジを生すことが出来るようだ。もちろん、好みに合わせて個々のパラメーターを調整することはかまわないのだがあくまでも過度にならないよう注意したい。
「X3F」作品1
撮影したSFDのデータがどのようなダイナミックレンジを持っているかを確認するためにPhotoshopのCamera Rawフィルターを使用してみた。ハイライト、シャドウともにとても広いことが分かる。
そして、ノイズ感も無く、極端に彩度を上げたり明るくしたりしても気になってくることは無くとても使いやすい、耐性が優れたデータだと言える。

Editorial Note

私は、写真を作品として作っていくときの撮影は、あくまでも素材を作る段階だと考えています。最も、撮影時に絵柄など重要なことは決まってしまいますので、もちろん一番大切な工程なのですが、撮影時に思っていたイメージを現実化するためには、撮影時だけで全てを完結することは出来ません。現像処理などの画像処理を経て作品は完成に向かっていくのです。そのイメージを定着していくためには素材としての良いデータが必要なのです。
カメラやセンサーを選ぶことも重要な技術になってくると思います。空気感や立体感を表現することにとても優れたフォビオンセンサーを選ぶ、そして、ダイナミックレンジが広く階調表現が素晴らしい、その上ノイズも無い機能がSFDモードなのです。被写体が動かない物で撮影時に三脚が必要など、使用できる条件は限られていますが、作品作りの上では素晴らしい選択肢の一つだと言えるでしょう。

森 健児 / Kenji Mori
森 健児 Kenji Mori
日本広告写真家協会会員(APA)。1958年横浜市生まれ。高校時代より夜間部の写真学校に通い、浜口タカシ氏、林忠彦氏、植田正治氏、白川義員氏等から写真を学ぶ。1979年、森健児写真事務所を設立。エディトリアル、音楽CDのジャケット、企業のポスター、カレンダー、カタログなどのコマーシャル写真を手がける一方 “優しくなれる写真” をテーマに創作活動も精力的にこなし各地で展覧会を開催している。 Kenji Mori Photography 写真家 森健児 " 優しくなれる写真"
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