+ fp あなたはfpで何を撮りますか?

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  • Produce: Yoshinao Yamada
  • Photo: Hiroshi Iwasaki
  • Video: DRAWING AND MANUAL

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藤代 雄一朗 Yuichiro Fujishiro

映像作家 Filmmaker “オリジナルデータの色をちょっといじるだけで、
こんなにトーンとか雰囲気が変わるんだということが
このカメラで分かっちゃうのは面白いですよね”

まさかこうして映像制作を仕事にするとは思っていませんでした
藤代雄一朗といいます。映像ディレクターをやっております。
ミュージックビデオやテレビCMなどの映像を中心に、最近では中編の映画をつくることもあります。自分で撮影や編集をしたり、1人で完結するものから大規模なプロジェクトまでいろいろやっています。
20代の頃は全く違う仕事で、ウェブ関係の会社に勤めていました。自分で写真を撮ったりしていたのでカメラは好きだったんですけれども、まさかこうして映像制作を仕事にするとは思っていませんでしたね。
2010年頃、一眼レフで動画が撮れるようになった時に、ネットにもいろいろな「一眼レフ動画」が登場するようになりましたよね。それらに影響を受けて映像の世界に入った、というのが始まりです。

すごく感銘を受けた映像の1つが山中有さんの”SIGMA Aizu, Japan”だった
僕がすごく感銘を受けた映像の1つが山中有さんの「SIGMA Aizu, Japan」だったんですよね。あの映像を見たときに、今まで自分が考えていた「映像」とは違って、すごく写真的だなと思ったんです。それまでは映像制作って、シナリオや演技をどうするかとか、考えることややらなきゃいけないことがすごく多くて敷居の高いものという印象があったんですね。でも、自分が見たこと、感じたこと、体験したことを写真に撮るような感覚で捉えて、それを映像に置きかえて、音楽や見せ方とともにイメージ通りに形にしていけば映像作品はつくれるんだ!と、思ったんです。もちろん、その先には折々で難しいハードルは現れるんですけれども、「あ、こういうふうに映像を捉えて、つくってもいいんだ」っていう感銘を受けたのが、自分にとっての映像制作の原体験ですね。

あまり最初から予定や演出をガチッと決めないほうがいいものができる
ロケとか編集が続くと、自宅には全然帰れなくなりますね。ロケ続きでも、編集で徹夜になるのも全然苦にならないです、僕の場合は。撮影とか編集って、「もうやるしかない」状況なのでいいんですけれど、最初の企画だけは別。とにかく全然手がつけられなくて、なかなか始まらないです。コンテとか企画書を書き始めるまでに、1~2日ぐらいゴロゴロしたりウンウン唸ったりして。
ドキュメンタリー映像を撮るときはいつも、現場に行くことを大事にしています。実際に会って人の話を聞いたなかで見つけたもの、その場で感じたものを、なるべく映像に残したいので。あまり最初から予定や演出をガチッと決めないほうがいいものができると思うので、普段からはそこはやりすぎないよう、あらかじめ気を付けていますね。

「こんなのあったらいいのにな」って思ってた要素がほぼ丸ごと凝縮されていて
機材を選ぶ基準は、ちゃんとあります。一番大事なのはやっぱり撮れる画のトーン、色の乗り方みたいなところなんですが、それらはカメラによってまったく違ってきます。なので事前にいろいろな映像を見て、どういう機材が使われてるかを調べて、自分が好きなトーンが出る機材かどうかを選んでいます。普段一番よく使ってるのは、機能が充実しているSONYのFS7なんですけど、fpは仕事と個人用の両方で使えるカメラだなと思っています。そういう公私の別をつけなくていいカメラをそばに置いておきたいなと思っていたので、fpが最初に発表されたときは、もうずっと「こんなのがあったらいいのにな」って思っていた要素がほぼ丸ごと凝縮されていて本当に驚きました。僕と同じように感じた映像業界の人たちがいっぱいいたはずなので、発表時にはみな一斉に騒然としました、本当に。

どこか人の気配がするものとか、人の温かさが感じられるものが好きです
もともと写真を撮ることが好きだったので、常に鞄にカメラは入っています。365日、割といつもカメラは手放さないです。何気ないとき、夕日がきれいだったり、どこかに遊びに行ってすごい面白いものを見たとき、きれいな景色を見たときなんかに撮っています。あとあとまで残して楽しみたいから、携帯とかではなく、高画質なカメラでちゃんと撮っておきたいという思いがあるので。もちろん、全然撮れないときもありますけど。
「あ、撮りたいな」って思う瞬間はどんな時か?めっちゃ難しい質問ですね(笑)。どんな瞬間なんだろう……。やっぱり、どこか人の気配がするものとか、人の温かさが感じられるものが好きですかね。景色を撮るときも、そこに人がいた気配を感じられるといいなと思うし、そういう画になったらいいなと思って撮っています。たとえば誰もいないことでその寂しさも感じるんだけれど、その中にもどこか「人」を感じるような、そういう感じが好きですね。すごく抽象的な言い方になっちゃうんですけど。

これまでのジャンルを一気にぶち抜いて「全部できます」みたいなカメラ
ああ、でも、よく考えてみると、fpについてはわりと仕事用として認識しているかもしれない。fpを自分で所有している理由は、どちらかというと「仕事用」っていう意味合いのほうが強い感じがする……。fpはどんなレンズでもハマりそうなところが面白いなと思っていて。このサイズでレンズも無限に交換できるって、実は本当にすごいこと。大きなカメラじゃないとできなかったことを、こんなに小さなカメラでやれちゃうわけだから。特にこのサイズでCinemaDNGが撮れるとか、カメラ内である程度カラーグレーディングができるとか。これまでのジャンルを一気にぶち抜いて「全部できます」みたいなカメラが出てきたんだなっていうところが凄い。

映像の制作現場のことをよくわかっている機能をしっかり載せてきたな
個人的には「ディレクターズビューファインダー(DVF)」という機能が本当に刺さりました。いろんな映像用カメラの画角のフォーマットが設定できるので、ロケハンで本番用カメラと同じフレーミングでテストできる。映像の制作現場のことをよくわかっている機能をしっかり載せてきたな、というところもすごく魅力的に感じました。あとはこのティール&オレンジとか、SIGMAの独自のカラーモードをそのままの設定で撮ってみたら、既にカラーグレーディングされたような画になっていたり。オリジナルデータの色をちょっといじるだけで、こんなにトーンとか雰囲気が変わるんだということが、このカメラで分かっちゃうのは面白いですよね。

「SIGMA Aizu, Japan」みたいな映像を淡々とつくっていくような人になれたら
もともと日本とか、地域を描いたものが好きで、地方でものづくりをしている人の姿やその人たちがつくっているものが、映像を通して海外の人の眼に触れるきっかけになったらいいなと思っていて。仕事に関係なく何でも好きなだけ撮っていいよと言われたら、ひたすらそんな世界を撮っていたいです。だから、「SIGMA Aizu, Japan」みたいな映像を淡々とつくっていくような人になれたらいいなと。もちろんもっと派手なものもたまにはやりたくなるんですけれども、自分の基礎として、何かひとつそういうものを持っておきたい、つくり続けていきたいと思っているので。今はまだ実現できていないけれど、最近それが自分の夢かなと思っています。


藤代 雄一朗

映像作家

1984年東京都生まれ。2016年DRAWING AND MANUALに参加。SEKAI NO OWARI・水曜日のカンパネラ・サンボマスター・FoorinのMV、SIGMA Brand Movie、2019年には新潟県西蒲区の中編映画「ボケとツッコミ」を監督。

www.yuichirofujishiro.org