SIGMAのレンズテクノロジー

シグマが現在展開している
40種類以上のレンズ群には、
創業以来、
一貫して揺らぐことのない写真哲学と、
これまで培ってきた
高度かつユニークなテクノロジーの
すべてが投入されています。
シグマはレンズ開発において、「よい写真づくり」を追究するためには何よりまず光学系の要素技術を究めていくことが大切だと考えています。ゆえに高度な加工・製造技術を磨き、それまで「常識」と目されてきた光学的課題に果敢に挑戦し、達成してきました。 そうした画づくりの本質的な性能を十分に実現してこそ、撮影の快適性や利便性をサポートする機構設計や制御技術などの良さも際立つはずです。
かけがえのない瞬間、美しい情景や記憶をより鮮明に、より忠実に再現するという意味において「写真の綺麗な仕上がり」のための技術は重要であり、必要な機能も相応に充実させる。シグマはそう考えて、一つひとつの技術要素を丹念に磨き上げ、「良い製品作り」に専心してきました。
シグマが現在展開している40種類以上のレンズ群には、創業以来、一貫して揺らぐことのない写真哲学と、これまで培ってきた高度かつユニークなテクノロジーのすべてが投入されています。ここでは、撮影者の多様かつハイレベルな要求に応え、新たな創作意欲を刺激するレンズづくりに欠かせないシグマのテクノロジーについてご紹介します。
特殊低分散ガラス
光の波長によってガラスの屈折率が異なるため、色ごとに結像点がずれる現象を色収差といいます。望遠系のレンズで強く現れやすく、画質を悪化させる原因となっています。これらの色収差を取り除くため、色による屈折率の差が少ない凸レンズと色による屈折率の差が大きい凹レンズを組み合わせて、軸上色収差を抑えていましたが、それでもわずかな残存色収差=二次スペクトルが残ってしまいました。シグマは、従来方式のレンズでは取り除くことができなかった残存色収差=二次スペクトルを徹底的に除去するために、二次スペクトルの補正能力の高い特殊低分散ガラスを多くのレンズ製品に導入し、高性能化を図っています。現在、シグマ独自の特殊低分散ガラスは、ELD(Extraordinary Low Dispersion)ガラス、SLD(Special Low Dispersion) ガラス、FLD(“F” Low Dispersion)ガラスの3種類があります。特にFLDガラスは、分散性が極めて小さく、異常分散性が高い「蛍石」と同等の性能を持つ、透過率に優れた超低分散ガラスです。これらのガラスを効果的に使用、適切なパワー配置により、残存色収差を極限まで補正し、優れた描写性能を実現しています。

インナーフォーカス・リアフォーカス
従来のピント合わせは「全体繰出し」か「前群繰出し」で行なわれていました。しかし、 AFカメラの普及や近接撮影への要求から、全長が変わらず収差変動の少ないフォーカスシステムが望まれるようになりました。シグマは、レンズ内部のレンズ群を移動させてフォーカシングを行う方式を採用。フォーカスで動かすレンズが小型・軽量であるためAFの高速化を実現しています。フォーカシングによる全長の変化がなく、レンズ重心の変動が小さいため、安定したホールディング性を実現しています。また、レンズの前玉が回らないので、円偏光フィルターの使用も容易です。


スーパーマルチレイヤーコーティング
レンズに入射した光の反射防止とフレアやゴーストの発生を低減するために施す、シグマ独自の多層膜コーティング。現在、すべてのDGレンズ、DCレンズで採用しています。特に撮像素子とレンズとの間で発生する、デジタル一眼カメラ特有の面間反射による フレア・ゴーストの抑制に威力を発揮。コントラストの高い描写を実現しています。
フローティングシステム
光学系内部のいくつかのレンズ群を、それぞれ異なる繰出し量でフォーカシングするのがフローティングシステムです。これにより撮影距離の変化による収差変動や、繰出し量を少なくすることができ、撮影距離の変化が大きいマクロレンズ、レンズ構成が非対称な一眼レフ用広角レンズにおいて特に効果を発揮します。

円形絞り
通常仕様の多角形の絞りは、絞ると点光源のボケも多角形になりますが、円形絞りは、開放付近で円形のボケが得られるように設計されています。水面の光などの点光源を背景にした撮影において、円形の美しいボケ表現が可能です。
超音波モーターHSM
超音波モーターHSM(Hyper Sonic Motor)搭載により、AFスピードの高速化と静粛性を実現。AFアルゴリズムを最適化することで、スムーズなAFを実現しました。AF駆動中でもフォーカスリングを回転させるとマニュアルフォーカスに切り替わる新フルタイムマニュアル機構を搭載。素早いピント調整が可能です。
また、別売りのSIGMA USB DOCKを使用することで、従来のフルタイムマニュアルに切り替えることもできます。
※マウントによって、フルタイムマニュアル機構の初期動作が異なります。

手ブレ補正OS(Optical stabilizer)機構
シグマ独自の手ブレ補正OS(Optical stabilizer)機構は、レンズ内の2つのセンサーが上下左右のブレを検出。光学系の一部を動かして、抜群の高い手ブレ補正効果を発揮。手ブレ補正の効果に加えて、撮影に大きく影響するファインダーの見え具合も考慮して設計しています。OS機構で採用されている光学式手ブレ補正は、レンズ内補正によりファインダー像のブレも効果的に補正。実際の補正済画像をファインダーで確認できるので、微妙なフレーミングや正確なAFがスムーズに行えます。さらに、レンズによっては、撮影状況に合わせて効果を発揮する二つの手ブレ補正モードを搭載しています。手ブレ補正モード 1では、上下左右の揺れを感知して補正、静止画撮影に最適です。手ブレ補正モード2では、上下の揺れを感知して補正するので、モータースポーツなどの流し撮りに適しています。

手ブレ補正ON

手ブレ補正OFF
非球面(アスフェリカル)レンズ
シグマでは、光学性能を高め、コンパクト化を実現するために非球面レンズを効果的に活用しています。球面レンズだけでは補正が困難な球面収差やディストーションの補正に効果を発揮する非球面レンズは、さらに高倍率ズームなどで画質の向上や小型・軽量化にも大きく貢献します。シグマが採用している非球面レンズには、樹脂をガラスレンズ表面に非球面形状に形成して作るハイブリッド非球面レンズと、ガラスレンズ素材を非球面形状に直接に形成して作るグラスモールド非球面レンズの2種類があります。