本当に必要な唯一のレンズ

クリス・マーティン・ショール
Chris Martin Scholl

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary, SIGMA fp L, ISO 100, F4, 1/160s

10年以上写真を生業としてきて、様々なレンズの長所や短所について、身をもって理解を深めてきました。あらゆる焦点距離の単焦点レンズやズームレンズを使ってきましたが、圧倒的な解像感や明るさなどの強みを持つ単焦点レンズを愛用する一方で、その固定された焦点距離に制限を感じてきたのも事実です。フォトグラファーとして柔軟性を保つためには、異なる焦点距離の単焦点レンズをいくつも所有する必要があります。結果として荷物は重くなり、レンズ交換の煩わしさに追われ、費用の負担も大きくなります。

対してズームレンズは、サイズと引き換えに画質を妥協したレンズだと長年評価されてきました。このため、私は個人的な旅行に出掛けるときやクライアントからの仕事に出向くときは、ズームレンズとは別に、単焦点も合わせて持っていくことを常に意識していました。
しかしその状況は、ミラーレスカメラシステムの登場とともに一変しました。
メーカーはショートフランジバックの特性を生かし、新たな限界に挑戦するようになりました。そして特にその恩恵を受けたのが、ズームレンズです。新たな時代のズームレンズは非常に軽量かつコンパクトでありながら、高い柔軟性とシャープネスを併せ持ちます。それらを今日のミラーレスカメラと組み合わせれば、プロの視点から見てももはや欠点は無いと言えます。

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary, SIGMA fp L, ISO 100, F4, 1/160s

フォトグラファーとしての私の仕事は旅行やライフスタイルに関するものが多く、とりわけストリートや建築物を中心とする写真を撮影しています。私の主な活動の場は世界中の大都市や都会の環境であり、そこでは目の前の条件や状況はまたたく間に変わっていきます。私は若いころから外国への旅行に憧れを感じ、異文化に浸りきってみたいと考えていました。そして大都会こそが、様々な文化が混じり合い、その社会のあらゆる階層にアクセスすることができる完璧なるつぼであると常に実感してきました。

私たちが暮らす世界は急速に変化しています。
そのなかで私が強く興味を惹かれるのは伝統的なライフスタイルと近代的なライフスタイルの共存です。この共存は、市民の日々の暮らしのなかだけでなく、それぞれの大都市の建築物にも見られます。なぜなら数千年とはいわないまでも、数百年にわたって存続してきた都市のなかに、未来を先取りしたような建築物が融合しているからです。このような状況はさらに変化し続けています。もちろん、すべての物語に良い面と悪い面があるように、この変化も良いものばかりとは限りません。

それでも私はフォトグラファーとして、その過程で生じるあらゆる物事を記録するのが自分の義務であると考えています。そのため私は長年にわたり、そのような場所を繰り返し訪れています。そうすることにより、ただ見栄えの良い建築物のスナップだけでは得られない、はるかに多くの物事を捉えることができるのです。

そして自分独自のスタイルを育ててきました。その際に特に重視したのは、未来的な建築物に感じる冷たさや違和感を際立たせることでした。事実、そのような建築物は人が作り出したものであるにも関わらず、どこか異質なもののように感じられるのです。

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary, SIGMA fp L, ISO 6400, F2.8, 1/320s

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary, SIGMA fp L, ISO 800, F2.8, 1/100s

自分にとって最適な機材を選ぶ際に重視する要素として、総合的な汎用性やコンパクトさがあります。なぜなら適切な焦点距離のレンズに交換する時間がない場面が多々あるからです。また、機材全体の重さも重要です。一日中歩き続けたり、様々な交通機関の乗り降りをしたり、新たな目的地に向かう次の飛行機に飛び乗ったりする上で、常に身軽でありたいと思っています。

そのために、カメラとレンズの重さは出来るだけ抑える必要があります。それも柔軟性と性能を損なうことなく。その点において16-28mm F2.8 DG DN | Contemporaryは、すべての条件を備えていると自信を持って言い切ることができます。非常に小型で軽量な設計だけではなく、超広角の16mmから最大28mmまでに及ぶ焦点距離も申し分ありません。その上、F2.8の明るさも備えています。したがって、特に薄暗い環境において屋内をクリーンかつシャープに撮影することが可能であり、建築撮影にとって完璧なレンズとなっています。ストリートフォト撮影にも同じことがいえます。二度とこない瞬間を捉えるためには、軽快な動きが必要不可欠だからです。このレンズはまさしく、本当に必要な唯一のレンズだといえるのではないでしょうか。

※ 撮影データの記載なき写真はSIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary以外のレンズで撮影されています。

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary, SIGMA fp L, ISO 320, F2.8, 1/160s

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary,
SIGMA fp L, ISO 6400, F2.8, 1/125s

16-28mm F2.8 DG DN | Contemporaryのテストを正確に行うため、私はドイツのベルリンにあるお気に入りの場所をいくつか訪れました。この都市を選んだのは、そこにはまさしく私が撮影したいと思うものがあるからです。この大都会には多様な文化が混在し、建築物においても歴史と未来がとても鮮やかに共存しています。私は十分な光が得られる条件とわずかな光しか得られない条件のもとで、この多様で複雑な都市環境を撮影しようと考えました。厳しい条件のもと、特に最も広角な焦点距離において、レンズがどのような性能を発揮するかをはっきりと確認したかったのです。

まずはベルリン都心の広い裏通りを訪れました。このような場所には、レンズの最も広角な焦点距離、すなわち16mmを試すのに最適な条件が揃っています。得られた画像は驚くほど素晴らしいものであり、明らかな歪みも周辺のにじみも見られませんでした。16-28mm F2.8 DG DN | Contemporaryはワイド端でもこれほどの画質を得られますから、条件の厳しい建築撮影においてもその性能を完璧に発揮してくれると期待できます。

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary, SIGMA fp L, ISO 320, F2.8, 1/125s

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary, SIGMA fp L, ISO 100, F4, 1/200s

次に向かったのは、ベルリンの官庁街でした。この地区はコンクリートで覆われた非常に近代的な外観を備え、多様性に富んでいることから、建築物やストリートフォトの魅力的な写真を撮影することができます。その日は雨が降っており、撮影を開始したときには日はすでに沈み、暗くなっていました。この種のレンズにとっては非常に厳しい条件ではあったものの、16-28mm F2.8 DG DN | Contemporaryの真の性能を確認するには完璧な条件であるともいえました。

レンズのフォーカスは非常に高速で正確であり、足早に移動する人々を何の問題もなく撮影することができました。レンズの交換に煩わされることもなく、建築撮影やストリート撮影を心から楽しむことができたのです。F2.8の大口径は黄昏時の撮影にはとても都合がよく、より低いISO感度の設定も可能にしました。そのため、ノイズのないクリーンでシャープな画が撮れました。

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary, SIGMA fp L, ISO 640, F2.8, 1/125s

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary,
SIGMA fp L, ISO 4000, F2.8, 1/125s

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary,
SIGMA fp L, ISO 2000, F2.8, 1/125s

翌日にはレンズの最広角側16mmでの性能を詳しくテストしてみました。近代的で未来を先取りしたような建築物を中心に撮影しているフォトグラファーとして、私が必要としているのは、数多くの直線が含まれるスケールの大きな建築物を撮影する際にも完璧に機能するレンズです。

通常、広角レンズの真の性能を確認する際には、このような建築物を撮影します。なぜなら、補正が不十分な設計のレンズでは、直線が歪み、曲がってしまうことが多いからです。その補正には多くの時間と手間がかかるので、後編集での処理は避けたい現象です。

私が出かけたのは、ベルリンのムゼウムスインゼル地区にある地下鉄の駅や歩道橋、近代美術館でした。これらの場所には、いずれもひとつの共通点があり、それは「直線や複雑な構造が多く含まれている」ということです。テスト撮影の結果を見ればお分かりのように、16-28mm F2.8 DG DN | Contemporaryを使用したところ、これらの建築物の描写に歪みは一切見られず、まったく問題はありませんでした。このようなコンパクトなレンズでありながら、感動的な性能といえるでしょう。

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary, SIGMA fp L, ISO 1250, F2.8, 1/400s

特にコンパクトで軽量なデザインを踏まえると、内部での歪み処理の素晴らしさは見事といわざるを得ません。レンズのフォーカスは開放F2.8からしっかりと合い、ボケ味はバターのように滑らかで魅力的です。16-28mm F2.8 DG DN | Contemporaryは、プロ用のSIGMAレンズに求められるものをまさに体現している一本です。

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