私の情熱も安らぎも、
私の原点である海から来る

マーク・コーニック
Mark Cornick

17mm F4 DG DN | Contemporary Special Impression

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary, SONY α7R III, ISO 100, F8, 1/160s

ご使用の撮影機材を教えてください。またフォトグラファーとしての自己紹介をお願いいたします。

私のフォトグラファーとしてのキャリアにおいて、カメラボディの変遷はあれど、常に変わらないのはSIGMAのレンズを使っていることです。現在、私はSony α7R IIIと、様々な状況や被写体に対応する選りすぐりのSIGMAレンズを使用して撮影しています。広角のSIGMA 14-24mm F2.8 DG DN|Artから望遠のSIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS|Contemporaryまで、すべて網羅しています。 

私は、抽象的で現代的な風景写真家であり、海岸、植物、ドキュメンタリースタイルの作品を専門としています。私の目標は、被写体の色や要素を利用して、私を取り巻く環境のエネルギーや雰囲気をとらえ、視覚的に印象的な作品を創ることです。目標は、私の作品を見た人が、私が撮影したときと同じ感情を感じることです。穏やかさ、平和、静寂の感覚を。

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary, SONY α7R III, ISO 160, F8, 1/200s

SIGMA Iシリーズの新製品「17mm F4 DG DN | Contemporary」の印象をお聞かせください。

このレンズを箱から取り出し、初めて手にしたとき、その小ささに感動しました。これまで使ってきたIシリーズのレンズと比べても、とても小さく、軽量です。このSIGMA 17mm F4 DG DN|Contemporaryは、私が知る限り最も軽い広角単焦点レンズの1つです。これはカメラに装着したときにも実感しました。またカメラとの相性もよく、スマートでスタイリッシュなシステムを叶えてくれます。

他のIシリーズと同様に、マニュアルで操作ができる絞りリングが追加されたことは簡単に絞り値を変えることができるだけでなく、より魅力的な写真体験ができるため、最も歓迎すべき機能の1つです。このレンズで新しい写真を撮るのをとても楽しみにしていてた私は、海岸で数日間、心を込めて写真を撮るのがこの撮影を楽しむ一番の方法だと思いました。

このレンズで特に印象的なのは最短撮影距離が12cmということです。このおかげで被写体に近づいて細部までシャープに写すことができ、特に、漁船や漁具のユニークな写真を撮ることができました。そして私の好きな海岸のひとつであるイギリス南東部・ダンジネスの撮影、広角単焦点レンズでこの海岸を撮るのは初めてだったこともあり、新鮮な目でこの場所を捉え、これまでは考えもしなかったような写真を撮ることができたのです。

*撮影データの記載なき写真は SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary以外のレンズで撮影されています。

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary, SONY α7R III, ISO 100, F11, 1/400s

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary, SONY α7R III, ISO 100, F8, 1/100s

フォトグラファーとしてのご自身のご経験についてお聞かせください。どのような経緯でこの分野で働くようになったのでしょうか。

大学では映画撮影を専攻していたこともあり、映像メディアには常に興味を抱いてきました。美しいフレームを構成するプロセスや、イメージを通してストーリーを伝えるためのさまざまなテクニックを深く掘り下げたモジュールに魅了されました。 

時が経つにつれ、私は映画よりも静止画の制作に情熱を注いでいることに気が付きました。多くの写真家がそうであるように、私もさまざまなジャンルの写真を試し、主に建築的な観点からロンドンの街を何年も撮影しました。この仕事は、基本的な技術や構図のスキルを学ぶ上では意義のあるものでしたが不満も多くありました。撮影した写真の多くはオリジナリティがなく、特徴的なスタイルもありませんでした。また忙しない街、騒音や人ごみも私には合わず、撮影の度にストレスや疲れを感じていました。

そんな中、屋外の、特に自然との一体感が感じられる海岸での撮影に喜びを見出すようになっていきました。風景写真への情熱が生まれたのはこの時です。夕暮れ時の海の光景や色を、自分独自のスタイルで撮影する方法を見つけたいと思い、長時間露光写真の抽象性や幽玄な効果の世界にものめり込むようになりました。

これが私にとっての「開眼」の瞬間でした。様々なテクニックを駆使することで、海辺にいるときに感じる私の思いを表現できる作品を撮影出来ました。水のぼかしや鮮やかな色彩で表現するそれは、まるで別世界のようです。 

私が写真について素晴らしいと思うのは、被写体を記録するための自分の信念と情熱を真に発見したときに得られる感覚です。海岸の写真を撮り始めたときの興奮と喜びは、今でも私の心の中にあり、写真を撮り続ける原動力となっています。私の作品を見て、私がその写真を撮ったときと同じような喜びを感じてくれる人がいれば、それは実に素敵なことです。

情熱を傾けられる場所を見つけた後の数年間、様々なテクニックを試し、色彩と抽象性を多用した独特の作品スタイルを作り出してきました。

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary, SONY α7R III, ISO 160, F8, 1/200s

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary, SONY α7R III, ISO 100, F8, 1/100s

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary,
SONY α7R III, ISO 100, F11, 1/250s

あなたの人生やキャリアにおいて、写真はどのような役割を担っていますか?どのようにしてインスピレーションを得るのですか?写真と人生におけるあなたの情熱は何ですか?

写真の旅を続けるうちに、私のライフスタイルやキャリアにおいて写真が果たす役割は、非常に重要なものとなってきました。趣味として始めたことが、仕事となり、人生の情熱へと発展しています。また、写真は私の人生において、マインドフルネスという新たな重要な役割を果たすようになりました。現在、私の作品のほぼすべてが、心の安らぎ、静けさ解放の感覚を呼び起こすことを目的としたものになっています。これは、私が感じていることを表現する手段であり、写真を撮る時間は、非常に個人的な体験になっています。私は、一人きりで撮影できる場所にいるときや、少なくとも人が多くない場所で撮影するときに、最も安らぎを感じます。

こういう理由から、海は私の作品作りにおいて極めて重要な役割を担っているのです。真冬でも真夏でも、海岸沿いを歩くことで私は活力を得ることができ、純粋な喜びの感覚に満たされます。私は撮影に入る前に、周囲の環境を観察したり、ただ自然の空気に身をゆだねたりしているだけで、何時間でも過ごせてしまいます。そして、いよいよ構図を決めるためにカメラを構えたときには、それに没頭できるような精神状態にあるのです。
このような精神状態のとき、私は最高の作品を作ることができます。そして、そういうときに撮影した作品は、高く評価される作品になることが多いのです。

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary, SONY α7R III, ISO 200, F11, 1/100s

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary,
SONY α7R III, ISO 320, F11, 1/160s

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary,
SONY α7R III, ISO 320, F11, 1/160s

なぜ海は私にとって特別な場所なのでしょうか。前述したように、海は、私が風景写真家になることを決心した場所です。波が打ち寄せる動き、干潮時にだけ現れる砂の複雑な模様、古代の崖の端に隠されたいくつもの表情、そしてもちろん、終わりがなく常に変化する空のキャンバスなど、海にある要素は最も素晴らしい光景を生み出します。これらすべての要素を一つにまとめることは、私にとって究極の満足感をもたらします。

海の魅力は、同じ日は二度と来ないということです。夏の夜に撮った写真と真冬に撮った写真はまったく違いますし、撮ったときの気持ちや感情も大きく違う。ある写真を見返すと、その写真を撮った時の感動が蘇ってきます。砂丘を吹き抜ける柔らかなそよ風や、裸足で砂の上を歩く感触。蘇るのは心地よい感覚だけではありません。マニュアルリングを操作するときのかじかんだ指先、三脚やブーツにかかる凍てつくように冷たい水...。そういったものも、暖かい部屋で紅茶でも飲みながら写真を見返し、振り返るときには、不思議に価値のあるものに思えるのです。

現場で撮影していないときは、できるだけ多くの時間を使って、自分の作品を編集したり、撮影場所を調べたり、アイデア、技術を研究したり、他の写真家の作品を見たりしています。これはすべて、新た新たなインスピレーションを得写真へのコミットメントを維持するために大切なことです。

私はプリントされた作品を愛していて、他の人の作品や自分の作品を楽しむには、物理的な印刷物ほど良い方法はないと思っています。SNSで発見した新しい写真家の作品を、本や展覧会を通して、じっくりと鑑賞することは、実に有意義な経験です。液晶画面でソーシャルメディアのフィードをスクロールするのではなく、紙の本を見ることで、写真家が意図したように作品全体を見ることができ、作品群のなかからの共通のテーマを見つけ、視覚的なストーリーを楽しむことができるのです。

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary, SONY α7R III, ISO 320, F8, 1/100s

自分のスタイルはどのように作っていますか?自分のスタイルを模索している人たちに、何か提案はありますか?

写真家として、自分自身の「スタイル」を確立することが必要だとよく言われます。これは、他の写真家と自分を差別化するための主な方法の1つであり、群衆から際立ち、見る人の注意を引くような、認識される作品を作ることができます。

個人的なスタイルを確立することは、一朝一夕にはできず、長年にわたって写真の技術を学び、練習し、できるだけ多くの他の写真家の作品を見ることによって達成されるものです。先人の作品を見たからこそ、新しいものを生み出すことができるのです。他の写真家からインスピレーションを受け、同じような被写体を撮影するために、彼らがどのようなアプローチをしているかを見て、創造力を発揮することが重要です。そして、実際に撮影に出かけたら、その知識をもとに、自分なりのアプローチで撮影を進めることができます。

私の場合は自分のスタイルと呼べるものを確立するまでに、10年近くかかりました。その間に様々なジャンルの写真を練習しましたが、抽象画の世界や、屋外での意図的なカメラの動き、多重露光などのテクニックに没頭するようになってから、ようやく自分の好みやビジョンに忠実な作品を作っていると実感するようになりました。

自分のスタイルを確立する過程で学んだ最も重要なことは、私はプロジェクトベースのフォトグラファーであるということです。私は、作品を見る人がそのイメージが何であるかを完全に理解できるように、タイトルや意図の表明を伴う、明確な作品群を作ることが好きです。プロジェクトは、作品全体であることもあれば、ある場所で1日撮影した写真を数枚並べただけの簡単なものであることもあります。撮影に出かけるときには常に明確な目標があり、その日に作るイメージの最終的なゴールがわかっているので、このような方法で仕事をするのはとても貴重なことだと感じています。

もしあなたが写真の旅を始めたばかり、あるいは自分のスタイルを確立しようとしているのであれば、からのアドバイスはこうです――自分が本当に情熱を持っている被写体を撮ること。そうして初めて、最高の作品ができ、ゆっくりと、しかし確実に、自分らしい方法で物事を記録する方法を見つけることができるのです。

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary, SONY α7R III, ISO 200, F11, 1/160s

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary, SONY α7R III, ISO 320, F11, 1/160s

なぜIシリーズがあなたにぴったりなのか、そして、この新しいレンズの使用感を表現するために、どのような3つの言葉を選びますか?

SIGMA Iシリーズは、そのコンパクトなサイズ、高いビルドクオリティ、スタイリッシュな外観から、私の作品作りに欠かせない要素となっています。

海岸で撮影するときは、光や天候の変化に素早く対応できるように準備する必要があるため、いつもIシリーズのレンズを揃えて旅をしています。思いがけないシーンやディテールに出くわすこともありますが、レンズの選択肢があることで、そのシーンにふさわしい、最高の写真を撮ることができます。

このレンズは常に性能を発揮し、私のビジョンを実現できるという安心感があるのです。この安心感があれば、フィールドでより多くの時間をクリエイティブに過ごし、構図を追求し、写真を創り出すことができます。Iシリーズのレンズは1つのバッグにすっぽり収まるので、海岸で1日中撮影しても、さまざまな状況や撮影スタイルに対応できます。

Iシリーズのレンズを使っていて、思い浮かぶ3つの言葉はスタイリッシュ、安心感、自由です。

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