第278回
コビサワラ原生林へ / To Kobisawara primeval forest
July 15, 2021
伊豆半島の最高峰・万三郎岳(標高1406m)の北3km、標高700~800mの山中にほぼ手つかずの原生林が残されている。コビサワラ原生林と名付けられてはいるがあまり知られていないようで、土曜日だったが、誰にも会わず独り散策した。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art
6月最後の土曜日、伊豆スカイラインを南下し冷川料金所で降り、ナビに従い県道を走り、天城山の北麓を源流とする狩野川の支流である地蔵堂川にかかる滝川橋を渡り、朝7時過ぎに静岡県伊豆市地蔵堂にある市営の萬城の滝キャンプ場に到着した。キャンプ場の駐車場は周辺を散策する人用の駐車場も兼ねている。私は車を停めて、駐車場から近い地蔵堂川にかかる萬城の滝へ歩いた。2万4000年前に地蔵堂火山が誕生し、そこから流れだした溶岩流の末端に柱状節理が見られる萬城の滝がある。以前は滝の裏側から見ることができたので、裏見の滝とも呼ばれるが、崩落のため滝の裏へ回る歩道は現在閉鎖されている。
地蔵堂川にかかる滝川橋から撮影。所々に紫陽花が咲く梅雨の晴れ間の朝だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
地蔵堂川沿いにわさび田が続く。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
落差20mの萬城の滝は、補強工事のため本来の自然な形でない部分もあるが、迫力のある滝だ。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art
萬城の滝周辺は濃い緑の世界。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
滝川橋から見た地蔵堂川とわさび田、激しく流れ落ちる萬城の滝の様子。
萬城の滝からは、地蔵堂川沿いの林道を南へ1時間ほど歩き、コビサワラ原生林への入り口に到着した。林道沿いはわさび田が続き、わさび農家の軽トラが数台走りすぎて行った。コビサワラ原生林への入り口には、地蔵堂川に注ぐ清流のコビサワラ川を渡り、杉と檜の植林に入り、ジグザグの山道を登り、涸沢を渡り到着した。入り口から45分の登りは、石がゴロゴロしていた区間もあり登山靴を履いて来て正解だった。伊豆市の観光サイトでは、ブナ、ケヤキ、モミ、ヒメシャラ、アカガシ、タブノキ、イタヤカエデ、ミズキ等が生息し、原生林を1周するには30分と説明されているが、写真を撮りながら散策した私は2時間滞在した。ハイカーには会わなかったが、一度私の後方に大きな音がしたので、振り向くとイノシシらしい動物が森の中を走り過ぎて行った。
林道脇で見かけた山の神。
鳥のさえずりとコビサワラ川の流れが響き渡っていた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
コビサワラ原生林への入り口は清流のコビサワラ川を渡る木橋から始まる。
木漏れ日が差す美しい光景に期待が膨らんだ。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
杉と檜の植林。
鹿に食われないように木の根本に緑のネットが張られている。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
大きなヒメシャラを見上げる。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art
原生林には木がたくさん倒れていた。
倒木に飛んで来たハチはオナガバチの一種だろうか?
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art
倒木にキノコが生えていたが、このキノコの名前は調べても分からなかった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
地蔵堂川沿いの林道を歩き、清流のコビサワラ川を渡り、杉と檜の植林を経てコビサワラ原生林を散策した。
登って来た林道を引き返し、萬城の滝キャンプ場に戻ると、バンガローからは子供の声が聞こえてきたが、土曜日の割には静かだった。私は登山靴からスニカーに履き替えて、帰りは伊豆スカイラインを北上し帰宅した。
帰り道、伊豆スカイラインの池の向駐車場で、眺望案内図の写真とほぼ同じ画角で撮影。
天気が崩れはじめ、駿河湾、沼津市、富士山が霞んでいた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
萬城の滝は2010年から2011年にかけ、崩落防止のためモルタルで埋める補強工事が行われた。そのことで、伊豆半島ジオパーク構想にリストされなかったようだが、迫力は満点だった。コビサワラ原生林はその名の由来も定かでなくGoogleマップにも表示されないが、森林浴を楽しむには絶好の場所だった。地蔵堂川の源流に近い辺りの情報は殆どないが、秘境感がありそうなので一度散策してみたい。その際は、帰宅を急がず、バーベキューエリアが充実している萬城の滝キャンプ場のバンガローに宿泊するつもりだ。