第283回
ヨセミテ国立公園・ポホノ・トレイルをバックパッキング / Backpacking the Pohono Trail in Yosemite National Park
October 06, 2021
1000m下のヨセミテバレーを見下ろせる標高2287mのタフト・ポイント(Taft Point)に両手を広げてカメラにポーズを取る女性がいた。巨大な花崗岩からの絶景は圧巻で記念写真を撮る人は多いが、ここから落ちて命を落とす人は後を絶たない。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
LAの友人二人から、ヨセミテ国立公園へ二泊三日のバックパッキングの旅へ誘われた。テントを張る川沿いまで10kmほど歩けば水は確保出来るが、そこまでの水2.5Lと、二泊分の食料にテントと寝袋等を背負うことになるとのことで、ちょっときついかなと思ったが、ヨセミテの森は熊が出るので単独で行く気がしていなかった私は、この誘いに乗ることにした。
荷物は14kg以内に抑えたかったので、カメラ機材はSIGMA fpLとレンズ2本(SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary、SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary)だけを60Lのバックパックの上部に入れ、三脚はバックパックの横に据えた。
8月末日の朝、ヨセミテバレーの南、ワオナ (Wawona)のビジターセンターで許可書(Wilderness Permits)をピックアップした後、グレーシャー・ポイントに車を停め、最終的に15kg近くになったバックパックを背負い、ポホノ・トレイルをタフト・ポイントまで5.5km歩いた。
グレーシャー・ポイントからタフト・ポイントまでは人気のコースで、この日はデイハイクを楽しむハイカーがほとんどだった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
タフト・ポイントの手前まであと少しの地点。タフト・ポイントからの景色を見るだけの目的で、タフト・ポイント・トレイルヘッドから片道1.8kmの平坦なトレイルを軽装で歩く人も多かった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
巨大な花崗岩の割れ目に岩が引っかかっていた。
フェンスもなく、ここに落ちたら命はない。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
タフト・ポイントからポホナ・トレイルを西へ歩き始めると、すれ違うハイカーも我々の後を追うハイカーもなく、ウィルダネスを歩くバックパッキングの旅が始まり、4kmほど歩くとブライダルベール・クリーク(Bridalveil Creek)に到達した。クリークにかかる橋の手前で、先頭を歩く友人がブラック・ベアを発見した。私達は熊が森へ消えるまでしばらく待ってからクリークを渡った。テントはクリークを渡るブライダルベール・クリーク・クロッシングより西からは何処にでも張っていい規則なので、クリーク沿いの平坦な土地にテントを張り二泊した。持ち込める食料に限りがあったが、初日の夜はバックパッキングとしては豪華な夕食だった。夜は食料から歯磨き粉までベアキャニスターに入れ、テントから50mほど離れた場所に保管した。翌朝取りに行くと鋭い爪の引っかき傷が残されていた。ブライダルベール・クリークは、2012年の暮に初めて見たブライダルベール滝となり、ヨセミテバレーに流れ落ちマーセド川 (Merced River)に注いでいるので、激しく流れ落ちる滝を想い出した。
テントを張る前、ブラック・ベアをしばらく観察出来た。荷物に制限があったが、コンパクトな望遠ズームレンズを持ち込んだので撮れた光景だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
初日の夜は早く寝て、翌朝暗いうちにテントを張ったブライダルベール・クリーク・クロッシングからデューイー・ポイント(Dewey Point)まで片道3.5kmを歩き、日の出を迎えた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
ヨセミテバレーを挟んでバレーの北を眺める。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
花崗岩の一枚岩、エル・キャピタン(El Capitan)に朝陽がスポットライトとなって差し込んだ。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
ヘリコプターがロッククライマーに人気のあるリーニング・タワー(Leaning Tower)の近くでホバリングしていたが、救助訓練のようだった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
この朝、ブライダルベール・クリーク・クロッシングとデューイー・ポイント間で、すれ違ったのはトレールランニングの女性一人だけで、私達はウィルダネスを満喫した。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
ヨセミテの森は古く倒木した巨木が沢山ある。この巨木は根こそぎ倒れ、根の裏側を見ることが出来た。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
ブライダルベール・クリーク・クロッシングで快晴の朝を満喫する友人二人。クリークは冷たくてほんの数秒しか入れなかったが昼間は水浴びもした。陽射しは強く乾燥していたので濡れた洋服もすぐに乾いてくれた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
熊にも出会えたこの旅を動画で記録した。
日中、陽射しは強く温度も上がり半袖で行動したが、陽が落ちると冷え込み、夜はスリーシーズン用の寝袋では寒くて何度も目が覚めた。二泊したブライダルベール・クリーク・クロッシングからグレーシャー・ポイントに戻ると、二日半ぶりに見る車の左後方のタイヤの空気圧が異常に減っていた。明らかにパンクだったので、夕陽に染まるグレーシャー・ポイントを撮ることを諦め、明るいうちに山を下り、街のガソリンスタンドでタイヤに空気を入れ、早目にLAに戻った。
今回は歩くことを優先し、持ち込む荷物を数百グラム単位で削り、カメラ機材の選択を迫られた。撮影する上では超広角レンズが欲しかった光景もあったので、この体験を今後に活かしたい。