第287回
ユタ州フィッシュレイク国有林内のビッグ・フラット / Big Flat in Fishlake National Forest, Utah
December 01, 2021
ユタ州南西部、標高1,799mの街ビーバー(Beaver)から東へ40km、山道を上った先にビッグ・フラットと呼ばれる高原が広がっている。北には左手から標高3,709mのデラノ山(Delano Peak)、正面には標高3,653mのホーリー山(Mount Holly)が間近に見えるこの高原の標高は3,050mと高く、冬季の間、ビッグ・フラットを横断するダート道は通行止めになる。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary
ワイオミング州の西部に位置するグランド・ティートン国立公園を午前8時に出発し、南へ800km近く走り、ユタ州南西部のビーバーという小さな街に宿を取った。州間高速道路15号線(略称:I-15)沿いのこの街には特に目的はなかったが、翌日訪問予定だったブライス・キャニオン周辺まで南東へ1時間半の距離にあり、まだ陽があるうちに到着したビーバーは、翌日の行動に都合のよい中継地点だった。しかし、同行した友人に急用が発生し、翌日はブライス・キャニオン方向へは寄らず、LAへ向かって直接南下することになった。翌朝、ぐっすりと寝ている友人に声をかけず、日の出だけを撮りに独りモーテルを出た。街から東へ向かって行くと山道に入り、谷間をしばらく上がると道路はダート道になった。ダート道はまだ暗い山の更に奥へ入って行くように見え、先へ進むのを一瞬ためらったが、開けた場所があると信じ、そこから10分ほど走ると高原に出た。それまで樹木に覆われていた山道を上って来た私は、開放感あふれる高原に三脚を立て日の出を待った。
ワイオミング州から大地と大空が続くアイダホ州の南東部を南下し、大きな風景に溶け込んでいくような気持ちになってこの写真を撮った。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
ビーバー(Beaver)の「B」の文字が街の東の山にライトアップされ、東の空が白みはじめていた。写真を撮って車に戻るとライトアップは消えてしまい、誰かが消さずに待ってくれていたような気がした。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
高原の西側に広がる森の上部に朝陽が差し始め、この6分後、東の森から太陽がゆっくりと顔を出した。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art
東の森から陽が昇ると草原にいた牛が微かに見えてきた。
太陽が通常より時間をかけて昇ったように感じた、時の流れの遅い朝だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art
日の出を撮りたい一心で東へ上って出会った高原は、澄み切った空気と静寂に満ちていた。
陽が昇った後、携帯電話が繋がらない高原からモーテルに戻る道中にもいい景色が沢山あり、もう少しこの周辺を探求したくなった。モーテルに戻ると、同行した友人は明日中にLAに戻ればOKだと言うので、午後から友人を連れて高原へ戻った。
1856年にモルモン教徒が定住したビーバーは人口三千人余の小さな街だが、歴史を感じる立派な教会が建っている。使用したSIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporaryは街中で建物を切りとるには丁度良い焦点距離だ。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary
街から山道に入ってすぐの場所に見つけたビーバー川沿いの施設は、小さなダムのような役割があるように見えた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary
ビーバーの飲み水は美味しいと聞いたが、ビーバー川も清らかな水の流れだった。
手前の黄色い花に冬まで時間が残されていると感じた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
日の出前には気が付かなかった舗装道路からダート道へ入る辺りに見かけた湖(Puffer Lake)に立ち寄ってみた。湖面は風で揺れていたが、私から見た湖の前方は空が鮮明に映り込んでいた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art
高原にある牧場の丸太の柵が光っていた。
少し寂しげな秋風が吹いていた光景のカラーモードはシネマがしっくりきた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 35mm F1.4 DG DN | Art
標高3,050mの高地で自由に歩き回る牛たち。
秋の色に染まった高原のカラーモードはティールアンドオレンジ一択だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports
街からビーバー川沿いを撮影しながら、日の出を撮影した高原までゆっくりと戻り、秋風が吹く高原を歩き回り、この夜も前夜と同じモーテルに宿泊して早く床に付いた。翌朝、暗いうちにモーテルを出て800km南のLAに明るいうちに戻った。
ビーバーからI-15を少し南下した所でフリーウェイを降りて日の出を迎えた場所は、ゴールドラッシュで金を求めた人が通った場所だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 35mm F1.4 DG DN | Art
中継地点として宿泊したビーバーには、魅力的な山々が連なっていた。陽が昇った後、一台のトラックが高原を通過する際、「今朝マウンテンゴートを見たか?」と尋ねられた。後日ネットで調べてみると、ビッグ・フラット から見えたデラノ山周辺で撮影された白いマウンテンゴートの群れの写真が沢山出てきた。5月から6月はマウンテンゴートが見られるチャンスが増すようなので、機会があればその時季にビーバーに宿泊し、標高3,709mのデラノ山まで登ってマウンテンゴートの群れを撮影したい。
標高3,050mの高原でゆっくりと昇った日の出を撮り、一旦下山して後、再び高原に上ったこの日、高地特有の空気感を動画で撮影した。