第304回
カリフォルニア州の内陸から海岸線へ / California Inland to Coast
September 14, 2022
美しい景観と芸術家の集まる街として知られるカリフォルニア州の小さな街のカーメル(Carmel)から南へ約15km、ソベレーンズ・ポイント(Soberanes Point)という太平洋を望む絶景ポイントがある。この辺りは何度も通り過ぎていたが、周辺を散策したのはこの日が初めてだった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
8月初旬、日中は強烈な陽射しが照りつけ、気温は38℃まで上がっていたカリフォルニア州北部から、インターステートハイウェイ5(通称I-5)で内陸部を南下した。陽が昇り、米国内で最も生産性の高い農業地域のひとつであるサンホアキン・バレーまで下ると、気温が上がり車のエアコンを最大にして走行、朝晩の寒暖の差を再確認させられた。
I-5沿いのCalifornia Aqueduct Vista Pointから、青い空が映り込んだ用水路に惹き付けられレンズを向けた。
1920年代頃から農場は水の供給を地下水に依存し、地下水位が低下し地盤沈下が引き起こされたが、用水路による地表水の取り込みにより、現在は地下水の汲み上げが減少している。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
I-5から州道152を西へ走り、ハイウェイ101からパシフィック・コースト・ハイウェイ (通称PCH)へと繋ぎ海岸線に向かった。海岸線に近づくと空は雲に覆われ気温が下がった。海岸へ出る前、広大な畑が広がるサリナス(Salinas)に立ち寄り、農作業風景とサリナス川に掛かるもう使用されていない鉄橋を撮影した。サリナス川はセントラルコーストで最も長い川(280km)で、南のサンルイスオビスポ郡の山地を水源とし北北西に流れ、モントレー湾に注いでいる。
サリナス川に掛かる鉄橋は撮影意欲を掻き立てる被写体だった。私は超広角レンズではヨコ位置で撮影することが多いが、この鉄橋はタテ位置がしっくりきた。カラーモードはシネマを選びレトロな鉄橋を描写した。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
海岸線に出る前、レタス畑だと思われる農作業風景とサリナス川に掛かる古い鉄橋を撮影。
サリナスで畑作業と鉄橋を撮影した後、海岸線に出てマリーナ・ステート・ビーチに立ち寄った。夏休みの週末のためビーチの狭いパーキング場はほぼ満車だったが、ビーチは広く開放感が溢れていた。
マリーナ・ステート・ビーチは涼しい潮風が吹き抜けライフガードは長袖だった。カリフォルニアの夏は、内陸部と海岸線の温度差の違いが大きく、時には夏服と冬服の用意が必要だ。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
撮影時からアスペクト比を21:9にして撮影、横長写真が似合う風景だった。
潮風が気持ちのいいビーチにカラーモードはパウダーブルーを選択。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
内陸部から来ると押し寄せる波の音が新鮮に聞こえたマリーナ・ステート・ビーチ。
マリーナ・ステート・ビーチからはカーメルにも立ち寄らず、ソベレーンズ・ポイントまで35km南下した。このポイントに車を停めたのは海岸線を楽しく歩くハイカーの姿が見えたからだった。
風が強かったソベレーンズ・ポイントから太平洋を眺めた。
海岸線のトレイルは、潮風に吹かれ、花が咲く春先に時間をかけて歩いてみたい。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
強風に煽られながらカモメが鳴くソベレーンズ・ポイントを動画で撮影。
パシフィック・コースト・ハイウェイを走り、木が茂る道を見かけたので海岸から少し離れてみると神秘的な巨木があり、小さなクリークが流れていた。PCHを走ると海岸に目が行きがちだが、海岸に沿って南北に伸びる山脈(California Coast Ranges)も奥が深い。
海岸から少し入った小さなクリーク沿いに巨木を見つけた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Art
巨木と太平洋に注ぐ小さなクリークを撮影。
海岸線の森の中にも独自の世界が広がっている。
海岸から少し離れて巨木とクリークを撮影後、再びPCHに戻り、カリフォルニアの海岸線で最も写真に撮られた橋のひとつであるビックスビー・クリーク橋(Bixby Creek Bridge)のビューポイントから橋を撮影後、ポイント・サー灯台を横目に海岸線から少し離れ、ビックサーの森の中を走り、再び海岸線に出てマクウェイ・フォールズ (McWay Falls)に立ち寄った。
高さは85m、長さ218mのビックスビー・クリーク橋。
新レンズの20mmで周囲の風景を大きく入れて撮影。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
ポイント・サー灯台へはガイドツアーに参加しないと近づけないので、遠くから眺めるように撮影。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
撮影する場所が限られるマクウェイ・フォールズ。
夕方の6時半頃、西日を浴び、撮影には一番良い時間帯だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
ビックスビー・クリーク橋と、駐車場から歩きトンネルを抜けて初めて見ることが出来るマクウェイ・フォールズを動画で撮影。
マクウェイ・フォールズからは、約65km南下した海岸がサンセットを迎えるのに良いスポットに見えたので、PCHの広い路肩に車を停め、草原を200mほど歩き、海岸が見渡せる場所に出た。
海岸から一人のサーファーが海へ出て行った。
この日の夕方、海は彼のものだった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
ブレイカーポイント(Breaker Point)と名付けられた海岸で潮風に吹かれ、沈んでゆく太陽を背景にサーファーを追った。サーファーは太陽が西の水平線に沈んでもしばらく海から上がって来なかった。
路肩に停めた車に戻りしばらくすると、30m程先に停まる車にあのサーファーが戻ってきて、素早く着替えて去っていた。私には暗い海岸線を走るエネルギーはもう残されていなかったので、ダウンジャケットを着込み車内で眠ることにした。
午前一時前に目が覚めると海面に映り込む月が揺れていた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Art
海から200mほど離れていた車中は波の音も邪魔にならず、月が映り込む海面を撮影後、車に戻り再び寝込んだ。
Soberanes Point
撮影風景

この日の機材を海岸沿いに並べてみた。
カモメが鳴くソベレーンズ・ポイント、サンセットとサーファーを撮影したブレイカーポイントでの撮影風景。