第310回
秋の西沢渓谷 / Nishizawa Gorge in Autumn
December 22, 2022
山梨県にある西沢渓谷の紅葉は「三重の滝」まで入ると色褪せていた。遅い午後の滝は人気もなく寒々しく、秋の終わりを感じた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
11月の第2週目、静岡市内から日本三大急流のひとつである富士川沿いを北上し山梨県に入り、県道140号線を北上した。目的地の西沢渓谷の入り口まで8kmほどに近づいた、笛吹川沿いの清水渓谷と呼ばれる地域は紅葉が見頃だった。中でも「お伊勢の宮」という看板が目に入り立ち寄った石仏群は、傍を流れる沢周辺の紅葉が見事で、様々の表情をした石仏を眺めていると時間が経つのを忘れた。
伊勢之宮石仏群は、弘法大師が岩盤に爪で自身の像を描いたといわれる崖仏や、伊勢参り道中安全を願う信者が無事帰参の礼に一体ずつ奉納したと伝えられる石仏が見所。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary
石仏群のすぐ傍を流れる沢周辺は紅葉が見頃だった。水量は多くはなかったが、水の流れる音は周囲に響き渡っていた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary
「お伊勢の宮」の紅葉が見事で周辺にも見所が沢山ありそうだった清水渓谷を散策し、この日の撮影を終える事も考えたが、山梨県の観光サイトで国内屈指の渓谷美の景勝地と紹介されている西沢渓谷は捨て難く、予定通り目的地へ向かった。
西沢渓谷の手前にある広瀬ダムによってせき止められた広瀬湖。風が強かったので紅葉を少しだけ撮り、湖を見下ろす地点まで登らなかった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
西沢渓谷の入り口にある駐車場へ到着し、すぐに林道に出ると渓谷からハイカーが続々と戻って来た。カメラを首から下げた私を見たハイカーの一人が、撮影した「竜神の滝」をカメラのモニターで見せてくれた。滝の周囲は神秘的で魅力的なので行きたいと思ったが、ハイカーの話では遊歩道は歩きづらく、帰り道のことを考えるとその滝まで行く時間はなさそうだった。私は「竜神の滝」の手前にある「三重の滝」までは何とか歩くことに決め、先を急いだ。
西沢渓谷へ向かう林道で、渓谷から戻って来たハイカーが見頃だった紅葉に釘付けになっていた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
林道沿いの山之神が祀られている周辺は神秘的な空気感が漂っていた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
光り輝いていた笛吹川(ふえふきがわ)の名の由来は、笛を吹きながら濁流に飲み込まれた母を探し、自身も川で死んだ息子の民話「笛吹権三郎伝説」からという説と、神事芸能に使う楽器に因んだという説がある。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
西沢渓谷と東沢渓谷が合流する辺りにかかる二俣吊り橋を渡り、西沢渓谷沿いを歩ける遊歩道へ向かう。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary
対岸から西沢渓谷へ流れ落ちる「大久保の滝」に渓谷の大きさを感じた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
沢沿いは滑りやすく、急な登りもある遊歩道は油断すると転びそうになったが、「三重の滝」までは思ったより早く到着することが出来た。まだ陽がしばらくあるので、私はその先にある「竜神の滝」まで歩くことにした。
ハイカーの話を聞いた時点では、行く時間はないだろうと思った「竜神の滝」まで到達出来た。
本流にかかる段瀑で落差は約7m、竜神の姿は見なかった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
「竜神の滝」からの帰り道、広角ズームレンズを活かして秋の西沢渓谷を撮影。沢が大きく曲がるこのポイントでは流れて来る水と流れ落ちて行く水が同時に見られ、この日一番気に入った光景だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary
暗くなった渓谷の森から午後の光に染まった山が暖かそうに見え、陽の光が恋しくなった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
思いがけず「竜神の滝」まで到達出来て満足だった私は、帰り道は心の余裕も生まれ、渓谷を観察しながら戻る事が出来た。西沢渓谷は奥が深いので、知られたポイント全て見るには早朝からスタートする必要があるだろう。来年は日が長く緑が濃い時季に一日かけて歩いてみようと思う。その時は単焦点レンズを中心にじっくり時間をかけて撮影したい。
富士川沿いから笛吹川沿いを北上し、西沢渓谷入ったこの日は、紅葉が目に焼き付き水の流れが耳に残った。
西沢渓谷
撮影風景の一部と機材紹介動画
カメラは動画用と静止画用に2台のSIGMA fp Lを使い分けた。動画は2本のズームレンズ(SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary、SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary)、静止画はその2本に加えSIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporaryも使用した。