第316回
蓑毛歩き / Walk in Minoge
March 23, 2023
神奈川県秦野市の蓑毛地区を流れる金目川沿いの山道を登って行き、川を渡るとヤビツ峠へ向かう柏木林道と髭僧の滝(ひげそうのたき)へ向かう山道の分岐点に出た。薄暗い山の斜面には、地元の人により雑木を取り除かれたミツマタ群生地が広がり、黄色い花は山の精霊のように見えた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
春に黄色い花を咲かせるジンチョウゲ科のミツマタが見られるハイキングコースを探し、「森林セラピー 蓑毛・春嶽湧水(はるたけゆうすい)コース」という神奈川県秦野市蓑毛地区のハイキングコースを見つけ、3月中旬に現地へ向かった。コースのスタート地点になる緑水庵に到着したのは朝の9時半、カメラリュックを背負った私は水車小屋から撮影を開始した。
秦野地方の水車の歴史は古く、江戸時代から各地区で見るみることができた。この水車は当時の様子をイメージして1989年に建てられた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art
1930年に秦野市内の今泉地区に建てられたタバコ農家の旧芦川家住宅を1991年に移築復元した緑水庵。趣のある建物は国の有形文化財に登録されている。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art
緑水庵の土間に入り屋根裏を見上げ、吊るされている大きな籠にフォーカスした。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
緑水庵に置いてあるマップからミツマタ群生地の先に髭層の滝があることを知り、私はその滝を目的地として緑水庵から歩き出した。蓑毛という地名は、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東国の蝦夷討伐途中に蓑毛でにわか雨に降られた時、農民が蓑(みの)を献上したことによると伝えられる。日本武尊が村人にこの地の地名を尋ねた際、まだ地名が付いていなかったので、農民の親切心に因んで蓑毛と名づけたと云われている。
ハイキングコースにはスポットとしてリストされていない蓑毛運動公園。満開の桜が見事だったので立ち寄り、背景に遊ぶ子供のいない止まったままのブランコにレンズを向けた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art
菜の花が道沿いに咲く石畳の道。この区間を過ぎると緩やかだが上りを感じるハイキングになった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art
金目川沿いに祀られた水神様の横に人形が置かれていた。この辺りは元宿と呼ばれ、関東大震災後の大雨による土砂崩れで15軒が流される以前は集落があったそうだが、何となく人気を感じたのは気のせいだったのだろうか。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art
元宿を過ぎると所々に黄色いミツマタを見かけるようなった。硬度が低く軟らかい水質の湧水が出ている春嶽湧水(はるたけゆうすい)と呼ばれる湧き水がある箇所から金目川を渡り、対岸からヤビツ峠へ向かう柏木林道との分かれ道まで登ると、山の斜面に黄色い花を咲かせたミツマタが群生していた。私はミツマタを撮るのに都合がいい柏木林道に少し入り撮影した後、髭層の滝へ向かった。ミツマタ群生地から滝に至る山道で二人の女性ハイカーとすれ違ったが、30分ほど滞在した滝では誰にも会わず、滝の音以外聞こえない山中で久しぶりの孤独感を味わった。
大山南西斜面を水源とする金目川を渡るとミツマタ群生地が待ち構えていた。まだ新緑には早く、色のない山中で黄色い花は登って来た疲れを忘れさせてくれた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art
大昔、胸まで伸びる長い髭が生えていた宝蓮寺の春獄という僧がこの滝で修行したので、この名前がついたと云われる金目川の源流付近にある髭僧の滝。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art
髭僧の滝から金目川にかかる小さな橋を渡り山道に戻った。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art
髭僧の滝からヤビツ峠に至る柏木林道との別れ道付近へ戻った辺り。
黄色いミツマタの花がなければ寂しい光景だったに違いない。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art
帰り道、行きに立ち寄らなかった大日坊で一休みした。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art
この日私の歩いたハイキングコースは健脚(髭僧の滝)コースと名付けられ、往復約5.3kmの距離だった。秦野市は桜の名所が幾つもあり歴史を感じる場所も多いので、近日中に再訪問したくなった。
緑水庵
撮影風景と機材
静止画はSIGMA 20mm F1.4 DG DN | Artと50mm F1.4 DG DN | Art、動画はSIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporaryと20mm F1.4 DG DN | Artで撮影した。カメラリュックに入れていたSIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporaryの出番はなかった。