第320回

第69回全日本チンドンコンクール(前編)/ The 69th All-Japan“Chindon” Traditional Street Performer Contest (Part1)

May 25, 2023

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/60s
絞り値 F4.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 800
焦点距離 17mm
ホワイトバランス オート
カラーモード スタンダード

富山市で開催された「第69回全日本チンドンコンクール」へ東京から参加した「チンドン芸能社」さんの支度シーンを撮影した。窓から入り込む外光と室内灯がミックスした宿の和室で、畳に座って化粧をする光景は正に日本の文化だった。若い女性メンバーが若い男性メンバーの化粧を手伝う光景を微笑ましく感じ、部屋の空気感と共に超広角レンズで切り取った。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary

富山市でチンドン屋さんのコンクールが開催される情報を知人から得た。海外生活が長い私は日本独自の文化に興味があり、4月7日から9日の間に開催されるこのイベントの取材を数ヶ月前から予定した。コンクールは1955年4月14日に第1回が開催され、第1回(1955年)〜第10回は「全国チンドンコンクール」、第11回(1965年)〜第26回は「全日本チンドン選手権大会」、第27回(1981年)から「全日本チンドンコンクール」という名称になった。第66回(2020年)から第68回まで、新型コロナウイルス感染症の影響により3年連続で中止だったので、今年は4年ぶりの開催となった。
コンクール自体は8日と9日の2日間で行われるが、市街地をチンドンマンが練り歩く等のイベントが7日の夜からあり、3日間に渡り行われた。私はイベント前夜の6日から案内役の知人と富山市に入った。7日の午後、「本物の家族3人、一家団結して頑張ります!」とのコメントがプログラムに載る福岡から参加した「こんぺい党」さんが、前夜祭に出演する前の支度シーンが最初の撮影となった。

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/125s
絞り値 F2.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 1000
焦点距離 50mm
ホワイトバランス 色温度指定
カラーモード スタンダード

化粧の初めは鏡をテーブルに置いて行っていたが、細かい部分の化粧になると鏡を片手で持った娘さん。鏡に映る彼女の凛々しい表情に魅了され、テーブルの様子も見える背後から撮影。口元の丸い影は鏡上の汚れ。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/125s
絞り値 F4.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 1250
焦点距離 17mm
ホワイトバランス オート
カラーモード スタンダード

お母さんが娘さんの帯を結ぶ手伝いをして、お父さんが淡々と支度をする。外は小雨も降る遅い午後、障子越しに柔らかい外光が入る和室は十分な明るさだった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/125s
絞り値 F2.8
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 1250
焦点距離 50mm
ホワイトバランス オート
カラーモード スタンダード

腰の低い物静かなお父さんが、これから被るカツラを確認中。
静かで穏やかな支度シーンだった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/125s
絞り値 F2.8
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 1250
焦点距離 50mm
ホワイトバランス オート
カラーモード スタンダード

記念写真はあまり好まない私から「記念写真を撮りましょう」と言って撮った写真。「ご家族で活動されていると家族喧嘩はしますか?」と尋ねると、奥さんが「家では、喧嘩は全くしないです!」と言われた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary

私は人前で芸や技を披露する人間に魅力を感じ、特に舞台裏で展開する光景を撮るのが好きだ。その際、撮影者である自分の存在感を出来るだけ小さくし、その場の光景を空気感と共に素直に切り取りることを心がけてきた。「こんぺい党」さんの支度シーンは、部屋が畳の和室なので当然靴を履かない状態での撮影となり、靴を脱いだ開放感がとても心地よくリラックスして撮影できた。
7日の夜は前夜祭で、チンドンマンが松川周辺などを演奏しながら練り歩く「幽玄チンドン夜桜流し」が、雨のためグランドプラザに場所が変更になった。例年は松川沿いに桜が咲き桜の下を練り歩くのだが、今年は各地で桜の開花が異常に早く市街の桜は既に散っていたので、「雨が降らなかったとしても今年は夜桜流しにはならなかったなー」と言っていたチンドンマンの言葉が耳に残った。私はチンドンマンが遊覧船に乗った光景を楽しみにしていたので、来年の第70回大会に期待したいと思った。

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/125s
絞り値 F2.8
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 1600
焦点距離 28mm
ホワイトバランス オート
カラーモード スタンダード

雨のため、前夜祭はグランドプラザで行われた。支度シーンを撮影させてもらった「こんぺい党」さんも登場し、翌日からのコンクールが楽しみになった富山の夜だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary

前夜祭の後、ホテルに戻って機材を置き、明るく楽しいチンドンマンの挨拶と演奏が耳に残ったまま富山の街へ繰り出した。8日は、前日の夜に撮影許可が出た東京から参加した「チンドン芸能社」さんの支度シーンを撮るため、撮影場所となった宿へ朝6時半に出向いた。通された部屋では男性3人と既に化粧をした女性1人が畳に座り、これから男性メンバーの化粧が始まるところだった。私はしばらく世間話を交わした後、いつものように自分の存在感を出来るだけ無くし静かに撮影を開始した。

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/125s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 17mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード スタンダード

東京から参加するチームの宿へ歩いて向かう朝、既にイベント用の物販ブースが設置された城址公園の横を通った短い間、朝陽が差してくれた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/125s
絞り値 F2.8
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 1250
焦点距離 39.4mm
カラーモード モノクローム

化粧も仕上がり衣装が整ってきた頃、ベテランのチンドンマンが若いチンドンマンに、この世界に入った頃の思い出や若い人と一緒に出来る嬉しさを語っていた。私も最近一緒に仕事を組む人達の殆が年下なので、感慨深く、その会話を聞きながらファインダーを覗いた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary

オープニングセレモニー・開幕パレードに向かう前、「チンドン芸能社」さんの支度シーンを撮影した宿の玄関前で、東京から参加したチームが輪になり、開幕に向けた景気づけのような演奏と舞が行われた。私が幼児だった昭和30年代の東京都品川区の戸越銀座では、チンドン屋さんは日常的によく見かける存在だった。この朝、久しぶりに見るチンドンマンは、チンドン屋さんの大きな音が聞こえて来ると外に飛びだし後を付いて行った記憶を蘇らせ、当時私の周りにいた今は亡き大人たちの顔や声を思い出させ、私にはノスタルジックで感傷的だった。宿の玄関前は色鮮やかで派手な衣装に身を包んだチンドンマンの舞台となり、コンクール前だったが、もう十分に観せてもらい、撮れたと思った。

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/250s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 400
焦点距離 17mm
ホワイトバランス オート
カラーモード スタンダード

宿の玄関前は華やかな舞台となり、この場に居た人は幸運だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/250s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 400
焦点距離 17mm
ホワイトバランス オート
カラーモード スタンダード

鉛色した曇り空を吹っ飛ばしてくれそうな躍動的な演奏や踊りに大いに盛り上がった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/250s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 400
焦点距離 17mm
ホワイトバランス オート
カラーモード スタンダード

チンドンマンの派手で色鮮やかな衣装は見る者を明るくしてくれた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary

東京から参加したチンドンマンは、ホテルからタクシーで午前10時半からのオープニングセレモニー・開幕パレードが開催されるグランドプラザへ移動した。私は歩いて移動しイベントの開幕シーンを記録した。

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/160s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 400
焦点距離 17mm
ホワイトバランス オート
カラーモード スタンダード

前日撮影した「こんぺい党」さんが晴れやかに開幕パレードへ出て行った。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary

「広辞苑」では、「チンドン屋とは、広告宣伝業者の一種。小太鼓、三味線、鉦(かね)、らっぱ、クラリネットなどを鳴らしながら、商店の開店披露、売り出し、映画・演劇その他の催しなどの宣伝をする人で、鉦と太鼓のチンチンドンドンの音からこの名がある。2人組、3人組、5人組などがあって、人目につきやすい奇異な服装をし、さらに人々の関心をそそるために路上で寸劇を行うこともある。」とある。 そんなチンドンマンによるコンクールは素人とプロに分かれていて、撮影はプロによるイベントだけに決めていたので、13時半から開催されるプロによる「全日本チンドンコンクール」まで総曲輪(そうがわ)通りでランチを取った後、会場となる富山県民会館へ向かった。

「全日本チンドンコンクール」WEBサイト
https://www.ccis-toyama.or.jp/toyama/cin/top.html

チンドンマンの賑やかな演奏は動画でも撮れて良かった。

グランドプラザ

撮影風景と機材

支度シーンでは冷静に撮影した。宿の玄関前でのチンドンマンの演奏と舞には感傷的な気持ちになりながら、三脚に据えた録画中の動画用カメラの横で静止画を撮影した。