インプレッション
ソフトなシャープネス
CONTEMPORARY
50mm F1.4 CL DG
by ミッチ・ラリー | Mitch Lally
私は海のそばでのポートレート撮影に常に惹き付けられてきました。海岸の風景のシンプルさに魅力を感じるのです。広々とした空、くすんだ色調の砂、水の動き──こうした要素が、ポートレートがいきいきと呼吸できるような空間を生み出します。
慣れ親しんだ海岸を舞台に、Sigma 50mm F1.4 CL DG | Contemporaryを使用した今回の撮影では、よくあるレンズテストではなく、ちょっとしたファッション広告キャンペーンのようなアプローチで撮影を試みました。
モデルのサーシャと私は、2種類のスタイリングを撮影することにしました。まず最初はブルーのボタンダウンシャツとショートパンツという装い。次に白のクローシェ編みのセットアップ。私がいつもポートレート作品で追求しているようなリラックスした自然な雰囲気を湛えながらも、ファッションカタログや広告に載っていてもおかしくないようなイメージを生み出すことを目指しました。
撮影当日の天候は理想的とは言えませんでした。どんよりと薄暗い曇り空で、光量もかなり少ない悪条件でしたが、実際にはそのおかげで良い写真が撮影できました。ゴールデンアワーのドラマチックな光に頼るのではなく、レンズそのものの力によって個性的なビジュアルを引き出すことができたのです。
このレンズの「個性」には非常に興味深いものがありました。現代のレンズは、技術的な完璧さの追求という点では素晴らしく優秀です。しかし、そのことが必ずしも興味深い写真につながるわけではありません。たとえ洗練度は低くても、より人間らしさが感じられるイメージへと、写真の世界でも広告の世界でも方向性がシフトしてきているように感じています。アナログ技術を取り入れたり、フィルムやヴィンテージの光学機器を使用したり、ソフトなカラーパレットで表現したり、といったことがトレンドになっています。
Sigma 50mm F1.4 CL DG | Contemporaryは、そういったアプローチにも無理なくフィットします。被写体のシャープネスやディテールはそのままに、フォーカスから外れたエリアはよりソフトでぬくもりの感じられる表現が可能です。開放F1.4の大口径レンズなので、背景のソフトな雰囲気がイメージ全体に個性をプラスします。海岸での撮影では、イメージに独特な質感や雰囲気が加わります。それが、私にとっては特に魅力的に感じられました。
とはいえ、そうした「個性」の表現のために、技術や性能の面で妥協しているわけではありません。カメラはSony α1 IIを使用したのですが、高度なAF性能のおかげで撮影は非常にスムーズでした。また、コンパクトで軽量な設計なので、さまざまなアングルからサーシャの姿を捉えるために動き回るのもストレスはなく、撮影場所の移動もスピーディーに行えました。抑制の効いた金属的なデザインも、現代的な機能性とクラシックなレンズを意識した個性の両立という、このレンズそのものが目指すコンセプトを見事に象徴しているように感じられました。
私にとっては、このバランス感覚こそが最も魅力を感じたポイントです。現代的なオートフォーカスレンズの利便性と信頼性をしっかり備えたレンズでありながら、生み出されるイメージには過度に補正された感じはなく、無機質すぎるということもありません。ちょっとした隙があること──少なくとも、そんなふうに感じられること──が、写真の完成度を高めてくれることもあるのです。
BEHIND THE SCENES
ABOUT
ミッチ・ラリー
写真家、映像作家、講師
オーストラリア人写真家、映像作家、講師。ポートレート写真を専門とし、自然光とナチュラルな色調による表現を得意としている。ブリズベン在住。プロの写真家兼映像作家として10年以上にわたるキャリアを持ち、オーストラリア国内にとどまらず世界各地で仕事をしている。
ラリーの写真の中核にあるのは、「撮影機材と技術は、それ自体がイメージになるのではなく、イメージを支えるものでなければならない」というシンプルなコンセプトである。ナチュラルで、さりげなく、そして人間らしさが感じられる写真を追求し、デジタル技術による完璧なイメージではなく、ソフトなコントラスト、肌本来のトーン、そしてフィルム風の色調を取り入れた表現を志向している。撮影のロケーションには海の近くを選ぶことが多いが、それは、開放感あふれる空間性、自然光、そしてリラックスした雰囲気が、ラリーのポートレート写真へのアプローチに合致しているからだ。
広告写真の仕事や個人としての作品制作と並行して、YouTube動画やワークショップ、講座などを通じた写真教育にも取り組んでいる。その内容は、コンセプトメイキングからロケーション選定、自然光での撮影、被写体へのディレクション、構図や色調まで、撮影プロセスのすべてを網羅している。
写真撮影や映像制作から教育活動に至るまで、ラリーがすべてにおいて力点を置いているのは「独自の個性的な視点を備えた作品制作」である。指導する写真家に対しても、真の自分らしさを表現できるスタイルを引き出すことを求めている。