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愛する横断山脈へのオマージュ

SPORTS
200mm F2 DG OS
Impression

by 楊蘇鉄|Yang Sutie

私の故郷は、四川盆地に位置する成都です。この盆地から200kmほど離れた場所には東西にわたって数千kmに及ぶ山脈が連なり、雪をいただく峰や澄み切った湖、深い峡谷、そして曲がりくねる河川が広がっています。

さらに、ジャイアントパンダやキンシコウをはじめとする世界的に有名な野生生物が生息する、並外れた生物多様性を誇ります。

また、この地域は文化的な多様性にも富んでおり、様々な民族がそれぞれ独自の伝統を受け継いできました。この一帯を総称して「横断山脈」と呼びます。

私がカメラを初めて手にした時から、横断山脈は最も頻繁に撮影する被写体であり続けています。

普段はこの地域の雄大で壮大な風景を表現するために広角レンズを使用することが多いのですが、今回のプロジェクトではあえてSigma 200mm F2 DG OS | Sportsレンズ1本だけでの撮影に挑戦しました。

この選択は私にとって、いつもの撮影スタイルを超えた未知の領域へと踏み出すきっかけとなっただけでなく、横断山脈という馴染みの場所を新たな視点から捉え、これまでと全く違う美を発見する機会ともなりました。

焦点距離200mm、開放F値2のこのレンズは、現在の市場において、非常にユニークな存在です。

実際に使ってみるまでは、どんな撮影結果が得られるのか想像ができませんでした。しかし、いざ撮影してみると、この大口径望遠レンズが生む強烈な圧縮効果と非常に浅い被写界深度が、被写体を驚くほどドラマチックに描き出しました。

ひとつのシーンの中に視覚的なレイヤーを幾層にも刻み込むようなその描写性能には特筆すべきものがありました。

また、HLA(High-response Linear Actuator)の搭載により、オートフォーカスも高速かつ正確で、複雑な背景の中で遠くにいる野生生物を捉えるときも、被写体に素早くフォーカスを合わせ、ダイナミックな瞬間を驚くほど鮮明に撮影できます。

今回の撮影プロジェクト全体を通して、私はシャッターを切るたびに大きな感動を味わいました。見慣れた風景が一変し、思いがけないニュアンスや視点が次々と浮かび上がりました。

開放F値2と、優れた手ブレ補正機能の組み合わせにより、薄暗い環境でも低ISO感度での撮影が可能になります。そのおかげで、高い画質を維持しながら、これまで見過ごしていたような繊細なディテールを表現することができました。

「ブルーアワー」(空が濃い青に染まる時間帯)に淡い光を放つチベットの望楼、ぬくもりの感じられる村の家々の灯り、明け方に山頂をわずかに照らす微かな光──以前は気づけなかったこれらの複雑な要素をこのレンズが捉えることで、私の写真が紡ぐストーリーをさらに豊かにしてくれたのです。

このレンズの光学性能は、私の予想を上回るものでした。

開放F2での撮影でも、画像は中心から周辺まで驚くほどシャープで、複雑な光の条件においても一切の妥協がありませんでした。

ナノポーラスコーティング(NPC)によって、フレアやゴーストが最小限に抑えられており、特に日の出とともに広がる壮大な雲海を撮影した時に、その効果を強く実感しました。
太陽に向かって逆光で撮影しても、非常にクリアで鮮やかな写真が撮影できます。

さらにもうひとつの特筆すべき点は、新設計の三脚座です。この三脚座は持ち運ぶ時にハンドルとして使っても便利なうえ、アルカスイスタイプの雲台との互換性があるためスムーズに三脚への着脱ができ、決定的瞬間を逃さずに撮影できました。

Sigma 200mm F2 DG OS | Sportsレンズとともに歩んだ風景撮影の旅は、非常に充実したものとなりました。レンズは完璧なまでの性能を発揮し、自然が織りなす複雑なディテールや、光と影が生み出す刹那の変化を確実に捉えることができました。

写真家の私にとっての大きな喜びは、風景が微細な変化を見せる瞬間を辛抱強く待ち、観察し、そして逃さずに捉えることです。

このレンズを使うことで、私はそうした魔法のような瞬間を凝縮し、美と驚異に満ちたこの世界を視覚的な記憶として留めることができました。

Sigma 200mm F2 DG OS | Sportsレンズを通して、私は新たなインスピレーションと出会い、新たな創作の方向性を見出しました。

新しい機材を試すことは、どんな写真家にとってもワクワクするような自己発見の旅であり、成長をもたらす経験なのです。

Behind the Scenes

ABOUT

楊蘇鉄|Yang Sutie

フォトグラファー
Sigma Chinaアンバサダー

楊蘇鉄は風景や文化風物を専門とする写真家。
中国四川省・成都在住。世界各地で撮影を行い、最も魅力的な光と美の純粋な写真表現を絶えず追求している。
その作品は、深い情感を湛えるとともに写真家自身の個人的な洞察も込められ、自らを取り巻く世界や人生に対する強い愛着が表現されている。