第248回

過去にQuattroで撮影した画像をティールアンドオレンジで現像した。/ Images taken by Quattro in the past processed in teal and orange

April 15, 2020

カメラ SIGMA sd Quattro H
レンズ SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports
シャッタースピード 1/400s
絞り値 F4.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 70mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

暖かい朝陽に輝いて西から力強く走って来た貨物列車を撮影した。ルート66沿いのアリゾナ州セリグマン(Seligman)は、ルート6
6が1926年に国道として指定される以前、サンタフェ鉄道の主要線とプレスコット・アンド・アリゾナセントラル鉄道会社の支線が連結する鉄道の駅で、プレスコット・ジャンクションと呼ばれていた。1886年、実業家のジェシー・セリグマンが、鉄道会社に資金調達したことからセリグマンと改名された。この光景は、カラーモードを「ティールアンドオレンジ」にすると、この場の空気感がより強く伝えられたと思う。
2019年6月撮影。
【使用機材】 SIGMA sd Quattro H, SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports

今話題のカメラSIGMA fpに、ハリウッド映画などでよく使われるカラーグレーディングに着想を得たカラーモードの「ティールアンドオレンジ」が新たに搭載されたが、この程、SIGMA sd QuattroシリーズSIGMA dp Quattroシリーズにも「ティールアンドオレンジ」が適用されることになった。この機能を搭載したファームウェア、ソフトウェアは4月23日(木)に公開予定だ。私は、新型コロナウイルスの影響のため、3月末からの渡米を取り止め、日本国内の移動もここしばらく控えることにしたので、テスト版のSIGMA Photo Pro 6.7.3を使用し、過去にQuattroで撮影した写真を「ティールアンドオレンジ」で再現像してみた。

カメラ SIGMA dp2 Quattro
シャッタースピード 1/125s
絞り値 F4.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 30mm
焦点距離
(35mm換算)
45mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

日中気温が40℃近くまで上がった夏の日の夕方、サクラメント川の水源付近で少女たちが水遊びをしていた。カリフォルニア州北部の標高4,322mのシャスタ山(Mount Shasta)は、昔から聖なる山として崇められてきた。山頂付近の万年雪からの雪解け水は清らかで、ここには水の精霊が住んでいると言われている。精霊と遊んでいるかのように見えた少女の日焼けした肌、身に付けたオレンジ色と水色のワンピース、遅い午後の光に染まる樹の葉、「ティールアンドオレンジ」を活かしたハリウッド映画のワンシーンのような光景だった。
2014年7月撮影。
【使用機材】 SIGMA dp2 Quattro

カメラ SIGMA dp2 Quattro
シャッタースピード 1/400s
絞り値 F8.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 30mm
焦点距離
(35mm換算)
45mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

生きたゴーストタウンと呼ばれるランズバーグ(Randsburg)とういう小さなタウンのメインストリートから逸れ、鉱山跡がある小山に登った。そこには塗装が落ちて錆びた古いピックアップトラックが放置されていた。乾燥した赤土の山に赤く錆びたピックアップトラックが自然に溶け込み、青い空がいいアクセントになる光景には、カラーモードに「ティールアンドオレンジ」を自然に選びたくなった。
2016年7月撮影。
【使用機材】 SIGMA dp2 Quattro

カメラ SIGMA sd Quattro
レンズ SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art
シャッタースピード 1/400s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 100mm
焦点距離
(35mm換算)
150mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

標高1,650mの山の町アイディルワイルド(Idyllwild)には、花崗岩が露出した岩壁を目当てに訪れる人も多く、アメリカのロッククライミング史において重要な場所だ。私が宿泊したコテージは鬱蒼とした森の中にあり、早朝、コテージから外に出ると木々の間から強い朝陽が作業場に差し込んでいた。乾燥しているので朝晩の寒暖の差が激しく、夏の夜でも暖炉に薪をくべることは珍しくない。積まれた薪に暖かい朝陽が差し込む光景は、カラーモードを「ティールアンドオレンジ」にして再現像すると薪の温もりが強調された。
2016年7月撮影。
【使用機材】 SIGMA sd Quattro, SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art

カメラ SIGMA sd Quattro
レンズ SIGMA 20mm F1.4 DG HSM | Art
シャッタースピード 1/320s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 20mm
焦点距離
(35mm換算)
30mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

数々の映画やテレビシリーズの撮影が行われたパラマウント・ランチ(PARAMOUNT RANCH)は、いるだけで西部劇のワンシーンへ飛び込んだような気分にさせる。ここは多様性のある地形のため、西部だけでなくアフリカ等様々なロケーションとしても撮影された。1953年にパラマウント映画社がランチを売却したが、その後も西部を舞台にしたテレビシリーズが何本も撮影され、1980年にナショナル・パーク・サービスがパラマウント・ランチの一部を購入してからも撮影は続いた。
残念ながら、ハリウッド仕込みの「ティールアンドオレンジ」がよく似合うパラマウント・ランチは、2018年の11月8日に発火したウールジー・ファイヤー(Woolsey Fire)でほぼ全焼してしまった。
2016年9月撮影。
【使用機材】 SIGMA sd Quattro, SIGMA 20mm F1.4 DG HSM | Art

カメラ SIGMA sd Quattro
レンズ SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM
シャッタースピード 1/60s
絞り値 F8.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 200
焦点距離 8mm
焦点距離
(35mm換算)
12mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

東の空に雲が多く朝陽が直接届かなかったが、周囲が明るくなるとマギー・クリーク(McGee Creek)沿いのアスペンが際立った。正面奥に聳える山は、標高3,845mのマウント・バルドウイン。ここ10年ほぼ毎秋、イースタン・シエラの黄葉を撮影している私は、この日標高2,350mのトレイルヘッドから標高約3,200mのビッグ・マギー・レイクまで登った。「ティールアンドオレンジ」で再現像すると、黄色い葉の中に沈んでいたオレンジ色の葉が浮き上がり、明るくなってきた空に静かな存在感を感じた。
【使用機材】 SIGMA sd Quattro, SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM

カメラ SIGMA sd Quattro
レンズ SIGMA 120-30mm F2.8 DG OS HSM | Sports
シャッタースピード 1/400s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 200
焦点距離 235mm
焦点距離
(35mm換算)
352mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

サンルイスオビスポから80kmほど南下すると、広大なケンダル・ジャクソンのシャルドネのぶどう畑が夕陽に染まっていた。18世紀にスペインから来た宣教師によってワインが紹介されたカリフォルニア州のエドナバレー(Edna Valley)には、有名なワイナリーが点在している。海から近く冷涼な空気が流れ込むこの土地は、シャルドネやピノノワールに適した気候のようだ。「ティールアンドオレンジ」によって、夕陽に染まったぶどう畑の光景が蘇った。
2016年12月撮影。
【使用機材】 SIGMA sd Quattro, SIGMA 120-30mm F2.8 DG OS HSM | Sports

カメラ SIGMA sd Quattro
レンズ SIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Art
シャッタースピード 1/400s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 105mm
焦点距離
(35mm換算)
157mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

街がクリスマス一色になった12月、広大な農場が広がるカリフォルニア州のセントラル・バレーを北上した。パソ・ロブレス (Paso Robles)でハイウェイ101に入ると朝出ていた霧が晴れ快晴となった。ハイウェイ沿いには、スペインのカトリック教会が宣教活動に使った道、旧エル・カミノ・レアルの跡であることを示す鐘がハイウェイ沿いに幾つも立っている。元々、鐘の質感がよく出ている写真だが、「ティールアンドオレンジ」で再現像すると錆びた赤い鐘の存在感がさらに増し、抜けるようなカリフォルニアの空の色も強調され、写真が生まれ変わった。
2016年12月撮影。
【使用機材】 SIGMA sd Quattro, SIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Art

カメラ SIGMA sd Quattro H
レンズ SIGMA 24mm F1.4 DG HSM | Art
シャッタースピード 1/320s
絞り値 F8.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 24mm
焦点距離
(35mm換算)
32mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

人気のあるナショナル・パークに比べるとモハベ国立自然保護区(Mojave National Preserve)は訪問者が圧倒的に少なく、広大な風景を独り占め出来る。冬の朝、線路の枕木のような家畜を囲む柵が青い空と山と枯れた地面と一帯になった風景に出会った。冷え込んだ朝は朝陽が有り難く、太陽が昇っていくにつれて気温も上昇し手袋も要らなくなった。「ティールアンドオレンジ」で再現像すると有り難かった冬の暖かい朝陽を思い出した。
2018年1月撮影。
【使用機材】 SIGMA sd Quattro H, SIGMA 24mm F1.4 DG HSM | Art

カメラ SIGMA sd Quattro H
レンズ SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports
シャッタースピード 1/250s
絞り値 F8.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 200
焦点距離 222mm
焦点距離
(35mm換算)
296mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

10月中旬の朝、サンフランシスコから車で北へ1時間の距離にある広大なブドウ畑が広がっているナパ・バレー(Napa Valley)に暗いうちに到着し、標準から超望遠までカバーする10倍ズームを主に秋色のブドウ畑を色々と撮影したが、紅葉した葉をアップにしたこの写真が一番気に入った。陽が昇って間もないマジカルアワーに撮影した写真と「ティールアンドオレンジ」は、魅力的な組み合わせだ。
2018年10月撮影。
【使用機材】 SIGMA sd Quattro H, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports

カメラ SIGMA sd Quattro H
レンズ SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO | Art
シャッタースピード 1/800s
絞り値 F4.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 70mm
焦点距離
(35mm換算)
93mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

この年の鎌倉は塩害で紅葉は期待できないと言われていた中、比較的塩害被害の少ないとの情報を得た金沢街道沿いの一条恵観山荘(いちじょうえかんさんそう)まで鎌倉駅から歩き、美しい紅葉を撮影した。一条恵観山荘は、後陽成天皇(1586〜1611年)の第九皇子、一条恵観によって営まれた山荘だ。昭和34年に京都西賀茂にあった建物が鎌倉に移築され、昭和39年に国の重要文化財に指定された。ハリウッド仕込みの「ティールアンドオレンジ」は、日本の紅葉シーンにも効果的なカラーモードだ。
2018年12月撮影。
【使用機材】 SIGMA sd Quattro H, SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO | Art

カメラ SIGMA sd Quattro H
レンズ SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art
シャッタースピード 1/160s
絞り値 F8.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 14mm
焦点距離
(35mm換算)
18mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

アーチーズ国立公園(Arches National Park)内にあるデリケート・アーチ(Delicate Arch)は、全体の高さ18m、開口部は14m、公園内で最も人気のあるアーチだ。朝陽が当たるアーチを撮りたかったので、暗いうちから往復4.8km、高低差146m、Difficultと書かれたトレイルを歩き始めた。日の出前にアーチに着きその時を待ったが、東の空に雲がかかりアーチに朝陽が届かなかった。諦めかけたその時、雲の切れ目から太陽が顔を出し、朝陽がデリケート・アーチを照らし赤いサンドストーンがさらに赤くなった。「ティールアンドオレンジ」で再現像すると感動的な光景がさらに味わい深いものになった。
2019年6月撮影。
【使用機材】 SIGMA sd Quattro H, SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art

カメラ SIGMA sd Quattro H
レンズ SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art
シャッタースピード 1/250s
絞り値 F7.1
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 63mm
焦点距離
(35mm換算)
84mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

チャコ・キャニオンは、現在の米国南西部において古代プエブロ人文化の中心地で、古代チャコ人は西暦850年頃から300年をかけ、砂岩、泥、木材を使用してプエブロと呼ばれる集落を幾つも造った。強い日差しの暑い日、プエブロが復元されているニューメキシコ州北西部に位置するチャコ文化国立歴史公園(Chaco Culture National Historical Park)内の遺跡、プエブロ・ボニート(Pueblo Bonito)で、先住民族によるダンスプレゼンテーションを撮影する機会を得た。
積み上げるメーソンリー方式によって作られた砂岩の赤い壁、その壁の間に見える空、先住民族の衣装と楽器に「ティールアンドオレンジ」効果が出て、趣深い写真となった。
2019年6月撮影。
【使用機材】 SIGMA sd Quattro H, SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art

カメラ SIGMA sd Quattro H
レンズ SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports
シャッタースピード 1/400s
絞り値 F4.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 14mm
焦点距離
(35mm換算)
18mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

1912年に開園し多い年には入場者数が年間200万人に達したものの、動物園の施設環境への批判により1966年に閉園した動物園跡が、サンタモニカ山脈東端のグリフィス・パーク(Griffith Park)内に残っている。今日オールド・ズー(Old Zoo)と呼ばれる動物園跡は、毎年秋の夜、ハロウィンのイベント会場として賑わう。この年の秋もハロウィンの飾り付けがなされ、日中に会場へ行ってみた。ハロウィンと言えばオレンジ色だから、昼間のハロウィン会場は「ティールアンドオレンジ」で決まりだ。
2019年9月撮影
【使用機材】 SIGMA sd Quattro H, SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports

過去に撮影したFoveonセンサーの解像感がある写真を、「ティールアンドオレンジ」をカラーモードにして再現像した。外出自粛中、独特の色彩表現を持つカラーモードで、ここしばらく今まで撮った写真を見直してみたい。

アリゾナ州セリグマン

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