第285回
杉本寺から鎌倉巡礼古道を経て岩殿寺へ / From Sugimoto-dera via Kamakura old pilgrimage route to Ganden-ji
November 04, 2021
カラスの鳴き声が響き渡る午後、神奈川県逗子市にある岩殿寺の石段を観音堂の手前まで登り本堂を見下ろす。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary
新製品のAPS-Cサイズミラーレス用ズームレンズ・SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryを持ち、鎌倉市二階堂にある杉本寺(すぎもとでら)から巡礼古道を経て、逗子市の岩殿寺(がんでんじ)へ歩いた。実は今年の8月に巡礼古道を歩きに行った際、コースを間違えてしまったので再挑戦だった。
天台宗の杉本寺は、天平6年(734年)の創建と伝えられ、鎌倉最古の寺とされる。山号は大蔵山、本尊は十一面観音、開山は行基。朝9時前に杉本寺に到着すると、時季的な理由からか有名な苔の石段には苔が少なく、庭師が小さな雑草を取り除く作業の真最中だった。茅葺屋根の山門を守る運慶作と伝えられる仁王が特に印象的で、迫力ある二体の像を静止画と動画で撮影した後、境内を後にした。
石段には苔が少なかったが、苔むした光景は所々で見られた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary
茅葺き屋根の本堂の周辺のディテールも風情があった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary
山門の屋根も苔に覆われている。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary
怒りを顕わにした金剛力士像・阿形(あぎよう)像。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary
怒りを内に秘めた金剛力士像・吽形(うんぎよう)像。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary
杉本寺からは、鎌倉時代には塩の道として栄えた金沢街道を東へ200mほど歩き、報国寺入り口交差点から滑川にかかる華の橋を渡り、竹寺として知られる報国寺を右手に見ながら100mほど歩き、住宅の間から前回見逃した巡礼古道の入り口へ入った。坂東三十三箇所の第一番札所である杉本寺から第二番札所の岩殿寺を結ぶ巡礼古道は源頼朝も歩いたと伝えられる。現在は、ハイランド住宅で寸断されているが、住宅地までの区間はまだ残されているので、鎌倉時代をイメージしながら細い巡礼古道を登った。晴れの日が続いていたので古道は歩きやすく快適だったが、雨が降るとぬかるんで滑りそうなので、それなりの靴を履いた方が良さそうだ。坂東三十三箇所とは、観音信仰の霊場のことで、源頼朝によって発願され源実朝が西国の霊場を模範として制定したと伝えられている。
巡礼古道に入り石段を登って行くと左手に少し開けた土地があり、岩の窪みに彫られたお地蔵様を見つけた。金剛窟地蔵尊(こんごうくつじぞうそん)と書かれているが、いつ誰が彫ったのか不明のようだ。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary
風化で顔の表情がよく分からない金剛窟地蔵尊。サイズ的に新レンズと組み合わせが良いSIGMA Iシリーズの90mmでAPS-Cサイズ用にクロップしたまま(35mm概算137mm)撮影。お地蔵様の彫られた岩の窪みの中へ上がらずアップで撮影出来た。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary
細い巡礼古道沿いに、庚申信仰に基づく庚申塔(こうしんとう)と刻まれた板碑を見かけた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary
今日まで残っている巡礼古道を登り切るとキジバトに出会った。
動き回っていたが、しっかりと眼にフォーカス出来た。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary
巡礼古道からは逗子ハイランド住宅を経て、JR横須賀線と並行する県道205号金沢逗子線を南下し、住宅地を歩き岩殿寺へ向かった。山門に到着すると陽が陰りはじめ、カラスの大きな鳴き声が響き渡っていた。本堂は山門から入ってすぐ左手にあるが、境内は山の斜面に続き、急な石段を観音堂が建つレベルまで登るとそこからさらに上へ登る階段があった。観音堂の裏手まで登ったが、鬱蒼とした森は秘境的な雰囲気がして、周辺に大きな住宅地があることを忘れさせてくれた。岩殿寺は、721(養老5)年に徳道上人の創建、行基が十一面観音像を造立し本尊として安置したと寺伝で伝えられ、山号は海雲山。現在は曹洞宗の寺だが、創建時は真言宗の寺だった。鎌倉時代、治世の間は源頼朝が毎月参拝し、源実朝らも度々参詣した。
石段の中腹にある石碑と灯籠にフォーカスした。
撮影地点から距離があったが、開放F値で撮影すると美しいボケ味が得られた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary
稲荷明神社と猿田彦神社。
傾いている手作り感覚の赤い鳥居にフォーカスした。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary
新レンズ(SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary)一本で、杉本寺、巡礼古道、岩殿寺を動画撮影した。
この日使用した新レンズ(SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary)は、APS-Cサイズだからフルサイズセンサー搭載のSIGMA fp Lに取り付けた場合、静止画で9.5K(9,520×6,328)から6.2K(6,240×4,144)へクロップされるのがもったいないと思ったが、今回撮影してみて画素数は十分だと感じた。レンズ紹介に「毎日持ち歩ける手のひらサイズ」とあるように非常にコンパクトで、F2.8と明るく描写力も高い。fpLに取り付け、静止画と動画をシームレスにフットワークよく撮影したい人には使い勝手がとても良いレンズだ。