第328回

千代ケ崎砲台跡、走水低砲台跡 / Chiyogasaki Gun Battery Site, Hashirimizu Lower Gun Battery Site

September 21, 2023

押本龍一「私の出会う光景」
カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/400s
絞り値 F4.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 65mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード スタンダード

砲台内の各施設を連結する交通路は塁道と呼ばれ、千代ケ崎砲台跡の幅4mの塁道は露天空間と隧道が繰り返されている。露天空間にある施設の外壁や露天空間と接する隧道の出入口には撥水性の高い焼過煉瓦(焦げ茶色)、室内や隧道内は普通煉瓦(赤色)が採用されている。また、塁道の屈曲している部分には、斜架拱(しゃかきょう)といった高度な煉瓦組積法が採用されている。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary

神奈川県横須賀市西浦賀の海抜60mの丘にあり、明治時代から昭和前期にかけて日本陸軍が東京湾周辺を防衛する目的で建設した東京湾要塞の一つであり、2015(平成27)年に国の史跡に指定され、日本遺産の構成文化財にも認定されている千代ヶ崎砲台跡を訪問した。
千代ヶ崎という土地には、1892(明治25)年から1895(明治28)年にかけて陸軍により砲台が設置されたが、その以前の江戸時代末期に会津藩により平根山台場が築かれペリー来航の際にも警備に当たった。東京湾要塞は、三浦半島および房総半島に設置された32の砲台と海堡(人工島)で構成され、太平洋戦争の終了時まで運用されたが、砲撃することは一度もなかった。
千代ヶ崎砲台跡は土・日・祝日のみの(12月29日から1月3日はのぞく)公開で、私が訪れた8月最後の土曜日は朝から非常に蒸し暑い日だった。砲台跡の訪問客用のパーキング場に車を停め、旧軍道を上り歩き公開時間の9時半に施設内に到着するとボランティアの方が親切に休憩所に誘導してくれた。そして、ガイドが付かないと見学する場所が限られるので、女性のガイドさんに案内をしてもらいながら写真を撮った。

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/400s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 20mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード スタンダード

休憩所から塁道に下り、振り返って土塁を見る。土塁とは敵の侵入を防ぐために土を盛り上げて作ったもの。左手は休憩所、右手に行くと砲台の上部へ出られる。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/250s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 65mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード スタンダード

「ここは皆さんよく写真を撮られますよ」とガイドさんが言った通り、休憩所から緩やかにカーブしている部分の塁道は絵になった。路面はコンクリートで舗装され、擁壁は凝灰質礫岩(ぎょうかいかくれきがん)という石材でつくられ、各段に長辺(長手)と短辺(小口)が交互に並ぶように積むブラフ積みだ。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/125s
絞り値 F2.8
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 640
焦点距離 20mm
ホワイトバランス オート
カラーモード スタンダード

ガイドさんがお気に入りの場所だと言っていた、生活用水用に雨水をろ過し貯水した貯水所の外壁は、要塞施設とは思えない洒落た煉瓦造り。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/125s
絞り値 F2.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 1000
焦点距離 20mm
ホワイトバランス オート
カラーモード ウォームゴールド

砲側弾薬庫と掩蔽部(えんべいぶ)の間には仕切り壁によってつくられた空間がある。壁には小窓があり、そこにランプを設置し両室を照らした。当時はガラスをはめ込んで弾薬庫への引火を防いだ。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/125s
絞り値 F2.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 1000
焦点距離 20mm
ホワイトバランス オート
カラーモード シネマ

28cm榴弾砲(りゅうだんほう)の砲弾と装薬を保管した砲側弾薬庫(ほうそくだんやくこ)。
無筋コンクリートの天井に空いた、砲弾(重量217kg)を砲座の高さまで引き上げるための揚弾井(ようだんせい)を見上げて撮影。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/400s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 20mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード スタンダード

3つの砲座と連結する交通路の高塁道へ上がり、現在立ち入りができない第二砲座跡を見る。ここでは暗い地下から上って来て見えた青い空が目に焼き付き、地下鉄から外に出た時の様な感じに似ていた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/500s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 20mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード 風景

第一砲座でガイドさんの説明を聞いて案内を終えた後、強い日差しが照りつける砲台の上部へ独りで上がり、第一砲座を見下ろす。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary

1877(明治10年)~1887(明治20年)前半に建設された他の砲台と比べ、1892(明治25)年に起工した千代ケ崎砲台は、近代建築・土木技術の発展が見られた。
千代ケ崎砲台の見学後、直線距離で北へ4km、車で18分の距離の走水低砲台跡へ立ち寄る予定だったが、雷雨注意報も出る急激な天気の変化にこの日は帰宅し、翌朝、走水低砲台跡を見学した。この砲台も東京湾要塞の一つで、走水漁港から海に突き出している小さな岬にあり、1886(明治19)年、幕末に築かれた旗山崎台場跡地に陸軍によって4門の大砲が配備された。旗山崎の地名の由来は、日本武尊がここから上総に渡ったといわれ、仮の御所を設けて軍旗を立てたことから御所ヶ崎、旗山崎と呼ばれたとの伝説による。

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/250s
絞り値 F4.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 20mm
ホワイトバランス オート
カラーモード フォレストグリーン

走水低砲台跡の敷地内に入り、最初に出会う弾薬庫。日本武尊の伝説もある海抜20mの小さな岬は草木が生い茂る神秘的な場所だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/200s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 20mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード スタンダード

第一砲座跡と東京湾。散策路からは三浦半島と房総半島に挟まれた浦賀水道を行きかう船舶を眺められる絶景ポイントだ。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/1250s
絞り値 F2.8
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 20mm
ホワイトバランス オート
カラーモード スタンダード

27cm加農砲(かのんほう)が据え付けられていた砲座跡へ下りた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード 1/500s
絞り値 F6.3
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 20mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード パウダーブルー

第四砲座跡。前日降った雨水が残り池のように見えた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary

走水低砲台跡の一般公開は土日祝日のみ。平日はガイド依頼時のみ見学可能。12月29日~1月3日は一般公開休止となっている。砲台跡がある旗山崎公園にはパーキング場がないため、私は西にある走水海岸のパーキング場に車を停め、そこから歩いて砲台跡を見学した。
東京湾要塞はこれまで幾つかの砲台跡を見学したが、各所にそれぞれの特徴があり、撮影場所として魅力があったので、今後も日本各地の砲台跡を散策してみるつもりだ。

走水低砲台跡を少しだけ動画でも撮ってみた。

撮影風景・機材

走水低砲台跡での撮影風景:
砲台跡はセミが元気に鳴く小さな岬にあった。今回は使用したレンズは、IシリーズからSIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporaryと65mm F2 DG DN | Contemporaryの2本。砲台跡の撮影にはバランスの良い組み合わせだった。

千代ケ崎砲台跡

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