インプレッション

動きと感情が交わる場所

ART
85mm F1.2 DG

by ドアン・クアン|Doãn Quang

ダンスの撮影はいつも私に刺激を与えてくれます。

すべての動きがその一瞬だけのものであり、全く同じ動きが繰り返されることは決してないからです。

その刹那の美を画面に捉えるためには、精密なオートフォーカス、卓越した光学性能、そして何よりも被写体の感情を伝える能力が必要になります。

私の最近の撮影では、Sigma 85mm F1.2 DG | ArtとSony α1の組み合わせがお気に入りになっています。

このレンズを使ってみて最初に強い印象を受けたのは、その優れたシャープネスでした。

F値1.2の大口径レンズでありながら、ディテールが精緻に表現できます。被写体の目や表情、そして衣装の細部に至るまで、くっきりと写し出してくれます。

連続したダンスの動きの撮影でも、Sony α1とSigma 85mm F1.2 DG | Art の高度なオートフォーカス性能は常に高い信頼性をもたらします。

そのおかげで、フォーカスを外してしまうことを心配せずに、ひとつひとつの場面に意識を集中して撮影を続けることができるのです。

とはいえ、Sigma 85mm F1.2 DG | Artで私が最も感銘を受けたのは、シャープネスではなく、描写の素晴らしさです。

被写体を背景から自然に浮き上がらせることで、その立体感を美しく表現できます。

大きくてなめらかなボケ感も、鑑賞者の視線を被写体へと無理なく誘導し、静かな奥行きと存在感を生み出してくれます。

これこそが、ファインアートのポートレート写真でも、ダンスの撮影でも、私がまさに求め続けてきた表現そのものなのです。

色の再現性もまた特筆すべき素晴らしさです。

肌の色調も自然に表現でき、グラデーションもなめらかで、ディテールもしっかりと捉えられます。

早朝の柔らかな光の中での撮影でも、夕暮れ時の「ゴールデンアワー」の撮影でも、穏やかで心地良いイメージが生み出せます。

街灯の光や夜景を背景とした夜間の撮影でも、色の一貫性が保たれるので、レタッチも柔軟に行えます。

このレンズは強いコントラストのあるシーンの撮影にも優れています。

逆光でも、あるいは難しい光の条件下での撮影でも、ハイライト部分もローライト部分も同じようにディテールを細かく描き出すことができ、明瞭なイメージを生み出せます。

この性能のおかげで撮影の自由度が高まり、光の状況をあまり気にすることなく、さまざまな構図を試すことが可能になりました。

さらに私がこのレンズについて高く価値を感じているのは感情表現の豊かさです。

瞬間の眼差しや、ほんの小さな体の動きに感情が表れることがありますが、このレンズは、そうした刹那に垣間見える感情を、柔らかな、そして深みのある表現として刻み込みます。

描写はディテールまで精緻ですが、過度にテクニカルというわけでもありません。被写体の自然な雰囲気を保ち、素直なリアルさで表現できるのです。

優れた光学性能はもちろんのこと、このレンズはシンプルに使いやすいレンズでもあります。

F値1.2という大口径ながらも、驚くほどバランスが良いのです。Sony α1とのコンビでは、手にしっくりと馴染み、操作性も快適です。

被写体を追って常に動きながら撮影を続けなければならないような状況でも、それは変わりません。このレンズのバランスの良さのおかげで、長時間にわたる撮影でもあまり疲れを感じることなく、効率的に撮影を進めることができます。

私は、スタジオでも、屋外でも、このSigma 85mm F1.2 DG|Artレンズを使って数多くの撮影を行いました。時間帯も、日の出から日没、夜間までさまざまでしたが、どんなシーンでも安心感がありました。卓越したシャープネス、色の再現性、そしてコントラストの表現といった性能が優れているのはもちろんですが、私を大いに支えてくれたのは、情感や物語を伝えるその表現力です。

ポートレート用レンズの評価はそこで決まると私は考えています。

そして、ダンスの撮影でもポートレートの撮影でも、このレンズが瞬く間に私の相棒となった 理由もまさにそこにあるのです。

BEHIND THE SCENES

ABOUT

ドアン・クアン|Doãn Quang
写真家

ポートレートとストーリーテリングを得意とする写真家。


ベトナム中部在住。10年以上にわたって、光と感情、そして人間の表情の関係を写真を通じて追究し続けている。


技術的な精密さと生の感情を兼ね備えた、時代を超えて真に迫るようなイメージの創出をテーマとしており、ポートレートやファッション写真のコミッションから、個人的な写真作品の撮影まで、クリーンで自然な視覚言語を用いながら、被写体の個性を引き出すことを心がけている。


写真とは、ある一瞬を切り取ることにとどまらず、感情を捉え、人と人のつながりを生み出し、シャッターの瞬間から長い年月が流れても人の心に響き続けるストーリーを綴ることだ、とクアンは考えている。

使用機材