インプレッション

ボケ味の、その先へ ── 動きに宿る詩

ART
85mm F1.2 DG

by トニー・ノエル|Tony Noël

「動き」は常に私の作品に共通するテーマです。それこそが、私がダンサーやアスリート、あるいは自然に動いている人々を撮影する原動力となっています。

瞬間と瞬間の間に起こる出来事──眼差し、仕草、何気ない姿勢の変化など──に私は惹き付けられます。こうした刹那に、最も素直な感情が表れるものだからです。

この10年間の旅路に、常に寄り添い続けてくれた焦点距離がひとつあるとすれば、それは85mmです。

私とSigmaとの関係は、Sigma 85mm F1.4 DG HSM | Artの登場から始まりました。このレンズは私の写真家としてのキャリアにおいて、極めて重要な一部分を築いてくれました。

そして今日、その物語はSigma 85mm F1.2 DG | Artとともに一つの節目を迎え、私に「動き」を表現するためのさらなる自由を与えてくれています。

このシリーズでは、アンナ、マルタ、マクシムという3人のモデルを撮影しました。

特定のポーズを指示するということはしていません。ただ思いのままに歩き、踊り、走り、自由に動いてもらいました。こうすることで、私が追い求める生き生きとしたイメージが自然と導き出されるからです。

私は昔から、動いている被写体を撮影することに深い喜びを感じてきました。彼らが放つエネルギーは、抽象的でありながらも、どこか自然さを感じさせる構図を私に与えてくれます。

私にとって85mmは、このアプローチを実現するための完璧な焦点距離です。被写体のパーソナルな領域を侵すことなく、心の通った距離感を保ちながら、親密なディテールと広がりのある構図のどちらも切り取ることができるからです。

Sigma 85mm F1.2 DG | Artは、こうした撮影手法にはまさにうってつけのレンズです。85mmという焦点距離のおかげで、被写体から一定の距離を保ちながらでも、親密な雰囲気を生み出すことができます。

モデルたちの空間に侵入することなく、彼らの感情に寄り添うような撮影が可能になるのです。

F1.2という大口径が生み出す圧倒的な立体感と被写体の際立ち。

美しいボケ感が光や質感を強調する一方で、絞り開放から卓越したシャープネスを発揮します。明るい昼間でも、日没後でも、素晴らしい画質を生み出します。

私が最も驚いたのは、このレンズのコンパクトさと軽さです。F値1.2の大口径レンズでありながら、驚くほどコンパクトで、持ち運びも快適です。このレンズなら、何時間も歩き続けても大丈夫。自由に視点を変えながら、直感の赴くままに撮影できます。レンズのせいで動きが制約を受けることもありません。オートフォーカスも高速かつ正確で、被写体の動きを難なく追い続けられます。

撮影において、私は意外性の余地を常に残しておきたいと考えています。

すべてをコントロールしたいとは思いません。なぜなら、意外性こそが力強いイメージの原動力となることが多いからです。

このレンズは、その存在をことさらに意識する必要がありません。ただ自分の直感を信じて、最も大切なこと──物語を紡ぎ出すこと──に意識を集中できるのです。

私にとってレンズとは、ただ卓越した性能を発揮するだけのものではありません。

道具としての存在を消し、創造性を主役へと躍り出させてくれるものであるべきです。

Sigma 85mm F1.2 DG | Artは、10年前から始まった物語を未来へと繋ぎ、私に最もインスピレーションを与える対象──「身体」「動き」そして「感情」を、これまで以上の自由さで写し出す力を与えてくれます。

BEHIND THE SCENES

ABOUT

トニー・ノエル|Tony Noël
アクションフォトグラファー

トニー・ノエルはリヨン在住。これまで10年にわたって、人間の身体、動き、そして光を中心とした写真表現の構築に取り組んできた。偶然性を取り入れたその撮影手法は、仕草や感情、そして動きが一体となり、ストーリーが生まれる瞬間を画面に焼き付ける。


現在は、ライカやシグマなどのカメラブランドとのコラボレーションを展開する一方で、フランス国内外で展覧会やワークショップを開催。ストリートフォトからスタジオ撮影、自然の中でのネイチャーフォトまで、さまざまな「動き」の自然な表現を探究し続けている。