

SIGMA fp Style 09
Graham Sheldon
映像作家
世界最小のフルフレームミラーレスカメラであるSIGMA fpを数週間使って感銘を受けたのは、非常に多くの用途があるという点でした。ドローンへの装着から、マットボックスやドリーを用いたワイヤレス収録のセットアップ、手持ちのドキュメンタリー撮影までfpでこなし、最終的にはセットアップから機材を全部外して、ボディと小さなSIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporaryだけで使っていました。fpの組合せの可能性は無限大だ、というのが私の見解です。
繰り返しにはなりますが、ボディのサイズに触れずにこのカメラについて語ることはできません。カードとバッテリーを抜いたボディの重さがたった370gということは撮影中の移動がかなり楽になりますが、それだけでなくカメラが小さいことは創造性にも恩恵を与えます。fpはその小ささにより、独自の視点から出来事を見つめることができるのです。様々な新しい視点に自分自身をねじ込むことで、細かなディテールを写すだけでなく、そのディテールを最も面白いアングルから撮影できるということに気付きました。

SIGMA fp, SIGMA CINE LENS FF High Speed Prime 28mm T1.5 FF, 12-bit CinemaDNG 23.98 fps UHD収録映像より切り出し
私がfpの中で気に入っているのは、UHDまたはFHDでの12bit CinemaDNG収録機能です。ファイルサイズはカメラ内収録できるMOVよりも大きくなりますが、外付けのSSDを使うことで、長時間の収録と高速のデータ転送が可能になります。SSDはボディ側面にある1/4サイズのネジ穴を使えば素早く手軽に取り付けできます。
カラーモードに関しては、私はポストプロダクションでカラーグレーディングしやすいニュートラル設定を主に使っていましたが、fpは多数のカラーモードに加えトーンコントロール機能も備えているので、カラーグレーディングをする時間と予算のない短納期プロジェクトにも柔軟に対応することができます。
また、色深度が12bitということは、例えば空を写した際にトーンジャンプの心配をしなくて済むということでもあります。

SIGMA fp, SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports, F2.8, ISO800, 1/1250s
他の大きなカメラが持っているような、露出を判断したりフォーカスを合わせるためのほとんどの機能はSIGMA fpにも搭載されています。露出に関してはヒストグラムより波形表示をよく使いますね。たまにフォーカスをチェックするためにフォーカスピーキングもオンにします。波形表示では大小の表示サイズが選べるので、収録時にプレビュー画面を広く使いたいという場合に便利です。
fpを使った数週間では、ほぼ全ての時間をCINEモードで使っていましたが、時おりSTILLモードで簡単なスナップ撮影や、インターバルタイマーを使ったタイムラプス撮影も行いました。fpのメニューには、CINEモード・STILLモードそれぞれ固有のオプションが用意されているので簡単に操作することができます。静止画と動画を一度に撮る場合はかなりの時間の節約になるでしょう。
付け加えると、こういったタイプの道具は、プロの制作現場で幅広い役割を担えるという点で価値があります。

SIGMA fp, SIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporary, F2.8, ISO400, 1/640s
“実践用の機材を選択する決め手は、あらゆる状況に対応できるかどうか”
Lマウントレンズを増やしているところなので、現在持っているレンズのほとんどはEFマウントです。そのため、fpには頻繁にSIGMA MOUNT CONVERTER MC-21を装着して使っていました。SIGMA CINE LENSに加え、Contemporary / Artラインから大量のレンズを現場で使用する中で、状況に応じてさまざまなレンズに簡単に交換できたので、カメラの柔軟性が大幅に向上しました。
私が最終的に機材を選ぶ決め手は、あらゆる状況に対応できるかどうか。その点でfpは合格でした。今はfpにPLマウントレンズをつけられる、SIGMA MOUNT CONVERTER MC-31を使って、私の持っている全てのレンズが活用できるのを楽しみにしています。

今後予定されている、CINEモードの収録オプションやHDR撮影、シネマグラフなどの追加機能を含むファームウェアのアップデートは、SIGMAが向こう数か月あるいは数年カメラをサポートし続けることを示唆していると思います。SIGMA fpを手にするあらゆる分野のクリエイターにとって12bitの明るい未来が待ち受けていることでしょう。