第289回
伊豆半島の達磨山へハイキング / Hiking to Mt. Daruma on the Izu Peninsula.
January 07, 2022
伊豆半島北西部に位置する標高982mの達磨山(だるまやま)の頂上は展望にすぐれ、駿河湾越しに富士山が鮮明に見えた。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F2 DG DN | Contemporary
12月中旬、富士山がよく見えるハイキングコースを調べていたら、1939年に開催されたニューヨーク万国博覧会へ富士山の絶景写真(鉄道省国際観光局企画)を出品し絶賛された際の撮影場所が、伊豆半島の北西部にあることを知った。撮影は、1938年10月下旬、静岡県伊豆市大沢にある現在「だるま山高原レストハウス」が建つ辺りにテントを張り、1週間かけて行われた。1707年の宝永噴火(ほうえいふんか)で誕生した富士山最大の側火山の宝永山の突起が富士山に隠れ山の形が美しく見え、さらに手前の駿河湾もよく見える構図が撮れることで、この地が撮影場所に選ばれたようだ。
周辺のハイキングコースも良さそうなので、早速車で現地へ向かった。朝日を浴び明るくなっていく富士山をタイムラプス動画で撮影したかった私は、日の出時刻の1時間前に「だるま山高原レストハウス」へ到着した。撮影はレストハウスの展望台から日の出時刻の30分前に開始した。
風が強く冷え込んだ朝だった。タイムラプス撮影中、駿河湾上を覆う雲海から富士山の頭が出ていた光景をもう一台のカメラで撮影。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
日の出直後、西から東へ流れる雲は上昇し富士山を隠すこともあった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
日の出から55分後に撮影、雲海が消え青い駿河湾の海面が見えた。
日の出から1時間だけ粘ってみようと待った甲斐があった。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F2 DG DN | Contemporary
陽が昇って元気な鳥の声が周辺から聞こえ始めても雲海は消えず、この朝、駿河湾を入れた撮影を諦めかけたが、日の出から50分ぐらい経つと雲が急に切れ始め青い駿河湾が見えた。朝8時過ぎに標高627mの「だるま山高原レストハウス」から、約2km西に位置し山頂は沼津市に属している標高816mの金冠山(きんかんざん)へ向かった。金冠山の頂上に到達する登山道からは富士山は見えない区間がほとんどだったが、ゴルフ場のような柔らかな芝生を歩く部分は歩きやすく、気温も上がり絶好のハイキング日和となった。
尾根道から富士山が見えなかった分、金冠山から駿河湾越しに見る富士山に感動した。
頂上で会ったハイカーが北のトレイルへ下りて行くまで待って撮影。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary
金冠山と掘られた石碑が朝日を浴び、駿河湾は青く、気持ちのいい朝だった。
意図した通り、石碑はシャープに、背景は大きくぼけた写真が撮れた。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
駿河湾越しに富士山を撮影し軽めのハイキングを楽しみたい人は、「だるま山高原レストハウス」と金冠山の往復で十分だと思うが、私は南に位置する標高981.83mの達磨山へ向かった。一旦、西伊豆スカイラインの戸田峠へ下りて登山道に戻り、木漏れ日が美しい樹木に覆われた階段を登り、視界が開け風が通り抜ける尾根道を歩いた。西伊豆スカイラインに出てからは少し歩き、ミヤマクマザサに覆われた達磨山の山頂までの急な登山道を登った。達磨山は100万から50万年前の火山活動により形成された火山が侵食されて残った峰の一つで、達磨山は火口があった地点ではなく、火口は達磨山の西側の斜面にあったと考えられている。
力強く登っていく年配のハイカー。
動画撮影中、もう一台のカメラで撮影。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
火山活動を身近に感じながら歩いて来た登山道を振り返る。約60万年前、フィリピン海プレートの北上で本州に衝突して伊豆が半島になった後、達磨山火山は噴火を繰り返した。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
達磨山まで続く笹原に覆われた一直線の急な登り。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F2 DG DN | Contemporary
360度の視界があり開放感溢れる達磨山の頂上。
レンズを向けるのはやはり富士山が見える北側。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F2 DG DN | Contemporary
達磨山までの登りは見た目以上に急だったが、開放感のある頂上に到達した時の達成感は高かった。達磨山からの帰り道はあまり撮影せずに、スタート地点の「だるま山高原レストハウス」へ戻った。日没まで1時間以上あったので少し時間を潰した後、夕陽に染まっていく駿河湾越しの富士山を撮影し、暗い静岡県道18号修善寺戸田線を東へ下りた。
達磨山からの戻りは遅い午後の光に染まった。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
「だるま山高原レストハウス」に戻り、タイムラプス撮影中にもう一台のカメラで夕陽に染まる駿河湾越しの富士山を撮影。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
朝日を浴びて明るくなっていく富士山を「だるま山高原レストハウス」から撮影し、金冠山と達磨山へ登った。帰りは遅い午後の光に染まる登山道を歩き、スタート地点に戻って夕陽に染まり暗くなっていく富士山を撮影した。
富士山が日の出から日没まで鮮明に見えたこの日は8.5kmほど歩き、朝夕の冷え込み以外、心地よい一日だった。持参したレンズは、SIGMA IシリーズからF2通しの3本(24mm F2 DG DN | Contemporary、35mm F2 DG DN | Contemporary、65mm F2 DG DN | Contemporary)と、100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporaryの計4本。カメラボディはfpとfpLの2台。機材の重量も苦にならず軽快な行動が出来た。