第291回
冬の城ヶ島(じょうがしま)/ Jogashima Island in Winter
February 02, 2022
冬の朝、波浪や風雨等による浸蝕により現在の形になった海蝕洞穴(かいしょくどうけつ)の間から昇ってくる日の出を撮影した。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
1月の第4週目、陽が昇る方角を調べていたら、神奈川県三浦半島の南端に位置する、城ヶ島にある海蝕洞穴の間から日の出が見られそうなので早速出かけてみた。
島の西にある城ヶ島第1駐車場に車を停め、短い商店街を通り抜け、岩礁前に出てからハイキングコースへ上り、東へ歩いて海蝕洞穴の前に下り立ったのは日の出の40分前。この朝は、4年前の5月に訪れた初夏のような気候とは大違いで、風も冷たく日の出までは長かった。
島は、海岸線長4km、面積0.99 km²、東西幅約1.8 km、南北幅約0.6kmと東西に細長い。海蝕洞穴は、島の真ん中辺りの南岸から太平洋に突き出た赤羽根崎と呼ばれる岩の突端に開き、突き出た地形を上から見ると馬の背のように見えることから「馬の背洞門」と呼ばれている。日の出が目当てだったので、陽が昇るとすぐに島を出たが、帰り際に見た朝陽に染まる島がとても美しく、帰宅後に冬を越しに滞在するウミウが観察出来ることも思い出し、二日後再び島へ向かった。
初日に日の出を撮影した後、ハイキングコースを西へ戻ると西の空に丸い月が浮かびトンビが飛んで行った。この写真を撮った後、日の出から日没までこの島に滞在したいと思った。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
地元では「めぐりの洞門」、「めがねの洞門」などの呼び名もある、高さ8m、横6m、厚さ2mの「馬の背洞門」の間から昇る日の出を初日に撮影。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
二日目の朝、日の出直後に西を見ると富士山が朝陽に染まり、満月から三日後の月が浮いていた。冬らしい実に鮮明な光景だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
日没まで滞在する予定で城ヶ島に来た二日目、陽が昇っても気温があまり上がらず風も強かったが、快晴の一日になった。日の出を撮影した後、「馬の背洞門」の東に広がる赤羽根海岸へハイキングコースから下りてみた。海岸には大きな砂浜があり、弓のように大きくカーブした居心地の良い空間だった。海岸の西端から東を見ると、断崖絶壁の海食崖(かいしょくがい)にウミウが張り付いていた。海岸に下り立った時刻は、西に面している崖に陽の光は届かず日陰になっていたので、崖に光がよく当たるまで海岸に2時間以上滞在し、県指定天然記念物のウミウのいる崖をじっくりと観察した。
赤羽根海岸の西端には沢山のトンビが舞いウミウに負けない存在感があった。超望遠ズームレンズを最大に伸ばして枝に留まるトンビを撮影。等倍で見るとトンビの眼に風景がシャープに写り込んでいた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports
赤羽根海岸は弓を強く引いたように大きくカーブをして入り江の様にも見えた。
青い入り江内で漁師の小さな船を数艘見かけたが、何の漁かはよく分からなかった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports
ウミウが張り付く海食崖は陽の差し始めが絵になった。
赤羽根海岸からこの断崖絶壁までは至れないので望遠レンズは持って出かけたい場所だ。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports
赤羽根海岸に長く滞在した後、ハイキングコースに戻って島の東の城ヶ島公園内に入り、2020年3月にリニューアルした安房埼(あわさき)灯台まで歩いた。灯台が建つ広場で少し休憩した後、歩いて来たハイキングコースをゆっくりと西へ戻った。ハイキングコースの西端まで来ると少し霞んでいたが、相模湾越しに雪をかぶった富士山と、島の西の高台に建つ白い城ヶ島灯台が良い景色をつくっていた。
灯台が建つ高台下の岩礁は、1923年に起きた関東大震災で最大1.7m隆起したと記録され、地震で地盤が隆起する以前は、「馬の背洞門」の間を小舟が通過出来たそうだ。私は、寒さを物ともしない釣り人のいる岩礁で日没を待った。
相模湾の向こう霞んで見える富士山、標高30mの高台に建つ城ヶ島灯台、レトロな宿の建物、昭和の邦画に出てくる様な光景だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary
午後の光に染まるススキが綺麗だったハイキングコースの西端から、島の西南部の磯を見下ろす。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
馬の背洞門まで続く岩礁に朽ちた小舟が置き去りになっていた。
船の色と空の色がマッチした寒い冬の午後の光景だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
何処からともなく岩礁に現れた一匹の猫が夕方の光に染まり、私から餌をもらえないと分かると何処かに行ってしまった。とっさにレンズを向け撮影したが、猫はシャープに背景は自然にぼけてくれた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary
伊豆半島に雲が少しあり、太陽がその雲に隠れた時の光景が気に入った。
締めの写真はタイトル写真と同じアスペクト比21:9にして、カラーモードはサンセットレッド。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
日の出から日没まで滞在した一日を動画で撮影。二日前にも来ていたので、海蝕洞穴の間から昇る日の出を撮る際、三脚を設置する場所に迷いはなかった。
2018年5月23日公開された号の本文最後に「次回はウミウが冬を越しに滞在する時季、長い望遠レンズを持って撮影に来てみるつもりだ。」と書いていた。当初は日の出を狙って来た冬の城ケ島だったが、SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsでウミウも撮り、結果的に4年越しの想いを成し遂げていた。今回は動画も同時に撮影したが、僅か4年間で使用機材が随分変わったことも再確認した。