第307回

大房岬自然公園 / Taibusamisaki Nature Park

November 08, 2022

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
シャッタースピード 1/500s
絞り値 F4.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 20mm
カラーモード モノクローム

穏やかな朝の海とレトロな桟橋。日の出後、朝陽が桟橋に届くまで裸電球の外灯が灯っていた原岡桟橋(岡本桟橋)は、千葉県南房総市の富浦湾に伸びている。少し霞んでいたが、東京湾と相模湾の先にある富士山の姿も見えるいい朝だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art

今年の5月、和歌山県の北西端に位置する加太・深山地区の砲台跡周辺を散策して以来、戦時中の軍の建造物に興味を持った私は、千葉県南部の浦賀水道に面して突き出た大房崎にある日本軍要塞施設跡を見つけた。岬は自然公園に指定され周辺も絵になりそうなので、10月の中旬に車で現地へ向かった。ナビの目的地を大房岬の少し北、原岡海岸と多田良北浜海岸間にある原岡桟橋(岡本桟橋)にセットし、朝の4時半に三浦半島の自宅を出た。アクアラインで東京湾から千葉県へ渡り、千葉県公式観光情報サイトにも紹介されている桟橋前に到着したのは日の出時刻だった。小さな駐車場には1台の車が既に停まり、桟橋の先端で数人の若者がスマホで楽しそうに写真を撮り合っていた。私が到着して約15分後に彼らは桟橋から姿を消し、朝陽が桟橋を明るくするまで桟橋に居たのは私だけで、誰に気兼ねすることなく時間をかけて撮影を楽しむことが出来た。

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
シャッタースピード 1/320s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 20mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

日の出から30分後、朝陽が届き明るくなった桟橋の先端から海を背にし、朝陽によって強調されたひび割れにフォーカスした。等倍で見るとコンクリートの質感が手で触れているように撮れたのがよく分かる。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports
シャッタースピード 1/320s
絞り値 F8
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 150mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード 風景

望遠効果で東京湾に入って来たタンカーと富士山が身近に感じる写真を撮った。日の出から1時間後、すっかり明るくなった桟橋に釣り人が現れ、昨日の夕陽が見事だった事をカメラを持つ私に伝え、桟橋の先端へ歩いて行った。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

夕陽スポットとして人気のある桟橋を少しだけ撮る予定でいたが、海も穏やかで爽やかないい朝だったので2時間ほど滞在した後、桟橋南の貸しボート屋がある多田良北浜海と、防波堤に沢山の釣り人がいた富浦新港に立ち寄り、地元の漁師と少し話した後、大房岬自然公園へ移動した。

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports
シャッタースピード 1/1250s
絞り値 F8.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 400
焦点距離 268.1mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード 風景

桟橋の南に位置する多田良北浜海岸。アオサギが横切るように飛んで行った瞬間を切りとった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art
シャッタースピード 1/500s
絞り値 F6.3
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 56.3mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード シネマ

富浦新港で見かけた朝陽を浴びた古い漁船は、何処から見ても存在感があったが、スクリューが見えるこのアングルからがしっくりときた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art

大房岬自然公園の駐車場に着くと、駐車場前の丘で遊ぶ地元の幼稚園児のはしゃぐ声が鳥の鳴き声と共に森に響いていた。弘化4年(1847年)には江戸湾防備のため徳川幕府が大砲を設置、明治33年には軍の射的場に指定された後、昭和3年には東京湾要塞の一部となった岬一体は、標高約80mの海蝕崖に囲まれている。手つかずの豊かな自然が残されているのは、要塞施設のために一般人は立入が禁止だったことが大きく影響しているようだ。私は二つのキャンプ場間に残された要塞跡地を中心に公園内を散策した。

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
シャッタースピード 1/8s
絞り値 F2.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 200
焦点距離 20mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード 風景

公園のマップでは単に要塞跡地とされる場所は探照灯施設だった。探照灯はレーダーが発達していなかった時代、敵の戦闘機や戦艦を照らし出す重要な装置だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
シャッタースピード 1/4s
絞り値 F1.4
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 20mm
カラーモード モノクローム

少し下った地下通路の先に探照灯を格納していた空間が見え、独りで歩いて行くのはちょっと薄気味悪かった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
シャッタースピード 0.5s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 400
焦点距離 20mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード フォレストグリーン

探照灯をここに格納し上げ下げした格納庫は、神殿のようにも見える美しい造りだ。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
シャッタースピード 1/500s
絞り値 F5.6
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 20mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード 風景

昔、増間村に大雨が降り水神様を祀った川の中の島が流され、村人たちが探しに出てそっくりな島を発見したことから名付けられたと云われる増間島と東京湾を、第二展望台から見渡す。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art
シャッタースピード 1/3200s
絞り値 F2.8
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 64.5mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード ティールアンドオレンジ

房総半島の先に大島が霞んで見えた岬の南側に広がる海岸。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art

大房岬自然公園は思った以上に大きく、第二展望台下の洞窟、第一展望台とその近くにある要塞跡地へ行くことなしに駐車場に戻って車中で一休みした後、朝一に立ち寄った桟橋がある海岸へ再び戻り夕陽を待った。この日は平日だったが、日没が近くなると桟橋付近には沢山の人が集まって来た。

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art
シャッタースピード 1/800s
絞り値 F4.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 56.7mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード パウダーブルー

老人にとっては日課となっているのだろうか。風が強まり気温が下がった遅い午後の海岸に老人が椅子に腰掛け、行き来する人の声が聞こえてくる桟橋を眺めていた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art

カメラ SIGMA fp L
レンズ SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art
シャッタースピード 1/640s
絞り値 F4.0
露出モード M-マニュアル露出
ISO感度 100
焦点距離 41.4mm
ホワイトバランス 晴れ
カラーモード サンセットレッド

太陽は大房岬の向こうに沈んで行き、富士山の上三分の一ぐらいが見えたサンセットのカラーモードは、サンセットレッド一択だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art

朝は岡本桟橋から富浦新港、その後は自然豊かな大房岬自然公園を散策し、最後は岡本桟橋で日没を迎えた。
レトロな桟橋とまだしっかりと残っている要塞跡は、色々な撮り方が試せて楽しかった。

原岡桟橋は元々漁港施設として造られ、昔の地図には停船場の記号が見られるようだ。港で働く漁師の話では、昔は桟橋付近に魚の販売所もあり、その当時は地元の人以外あまり知られていない存在だったのだろう。しかし、今はちょっとした観光スポットのように見える。駐車場のトイレも完備されているが、そこに至る道はとても狭く、住民の迷惑にならないないよう静かに訪れたい。一方、大房岬自然公園は、見どころも多く広いので一日がかりで楽しめる岬だ。この日見られなかった部分があるので、近いうちに再訪問をしたいと思う。

大房岬自然公園

撮影風景

静止画と動画を撮ったこの日の撮影状況。