第326回
奥多摩の古里から鳩ノ巣へ歩く/ Walk from Kori to Hatonosu in Okutama
October 21, 2023
東京都西多摩郡奥多摩町の寸庭(すにわ)橋から見る多摩川は濃い緑の間を流れ、川辺りには夏を楽しむ人々の声が響き渡っていた。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
5年前の春、JR青梅線の鳩ノ巣駅から奥多摩駅間の「大多摩ウォーキングトレイル」を歩いた際、車窓から見えた古里駅と鳩ノ巣駅間の風景が目に焼き付いていた私は、8月最初の土曜日、古里駅から鳩ノ巣駅間を歩いた。
この日、青梅から来ると鳩ノ巣駅の一つ手前になる無人駅の古里駅に朝10時24分に到着した。駅前のコンビニに寄った後、駅の北側にある小丹波(こたば)熊野神社へ向かった。駅から神社までは僅か200mほどの緩やかな上りだったが、この日は非常に暑く、神門前にたどり着くまでにかなりの汗をかきエネルギーを使った。自宅を出てから4時間近くが経過し、お腹が減ってきたので神門の陰で陽射しから逃れ、コンビニで買ったおにぎりを頬張った。
舞台(神楽殿)を兼ねる神門は趣があり様々な撮り方が出来るが、古里の集落が見える境内側からが一番気に入った。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
神門に特徴がある小丹波熊野神社では、イギリス人らしき男性二人が境内を熱心に見学していた。奥多摩行きの車内でも多くの外国人を見かけたので、奥多摩は外国人にも人気があるようだ。神社から青梅線の線路沿いの道を西へ少し歩くと、「奥多摩巨樹の里」という看板を見かけた。青梅駅で乗り換えの際、駅で見つけた「駅からのさんぽマップ」に載る「古里附のイヌグス」は、常緑喬木のタブノキだと思って立ち寄ってみたが、「小丹波のイヌグス」と呼ばれる木だったことが帰宅後分かった。
ここでは気に入った写真が撮れずに立ち去ろうとした時、セミの抜け殻を見つけ、夏らしい光景が撮れた。「古里附のイヌグス」は青梅街道沿いの春日神社境内にあり、この地域では最大の巨樹のようなので、またの機会に必ず立ち寄りたい。
自在に近づける超広角レンズの特性を活かし、イヌグスを背景に大きく入れ、小さなセミの抜け殻に寄って撮影した。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
車の往来が多い青梅街道から街道の南の道に入って西へ歩いた。古里駅と鳩の巣駅のほぼ中間地点で、青梅街道の南側に位置する寸庭橋までは少し道に迷って到着した。寸庭橋で多摩川の右岸を渡り、右側の西へ行けば、「大多摩ウォーキングトレイル」に入れたが、反対方向の東へ寸庭集落まで歩いてから寸庭橋まで戻りトレイルに入った。それまで歩いて来た殆どの区間で直射日光を浴びて来たので、森の中に入れたことが有り難く、寸庭川に掛かる小橋まで歩いて滝が見えた時は感動した。滝では顔を洗い英気を取り戻し、休憩を兼ねてゆっくり撮影した。
寸庭集落で見かけた風見鶏が付いた火の見櫓。この時までにかいた汗はこの夏最大で、額から流れ落ちる汗で目がヒリヒリと痛かった。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary
「大多摩ウォーキングトレイル」を歩き始めてすぐに川辺りまで下りることが出来た。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary
寸庭川に掛かる小橋から、案内マップでは「下の滝」と表記される水の流れを見下ろす。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary
案内マップで「上の滝」と表記される滝は、小さな岩を上り下りして近づいた。
水はさほど冷たくはなかったが、暑い日にはとても有り難い水場だった。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary
滝から越沢川に架かるホタル橋まで西へ歩き、橋から川の上流を撮影していると、川の流れ音に混じり、西の空から雷の音が聞こえてきた。トレイルはそこから登りが急にきつくなった。ホタル橋から、この日歩いたトレイルの最高地点までの標高差は100mほどだったが、数字以上に急な登りに感じた。この区間ですれ違ったハイカーは二人。両者とも見るからに気合が入った男性ハイカーだった。
ホタル橋から越沢川の上流を見る。
涼しげで落ち着く場所だったが、雷の音が聞こえたので長居はせず先を急いだ。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
比較的平らな区間に丸太が置いてあり、ここに腰を下ろし靴の紐を結び直した。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary
トレイルはよく整備され、設置されているトイレは掃除が行き届いて清潔だった。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary
この日のトレッキングルートで最高地点(380m)となる松の下尾根の東屋から鳩ノ巣の集落を眺めた。グレーな雲の間から陽光が差している時間は短かった。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary
鳩ノ巣の雲仙橋から多摩川を見下ろす。
古里周辺の多摩川と比較すると流れが激しいように見えた。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
雷の音が近づいて来たので、松の下尾根の東屋から鳩ノ巣まで一気に下った。ウォーキングマップによると古里と鳩ノ巣間は3.4kmの歩きとなっているが、私はコース通り歩かなかったのでトータル5kmは歩いたと思う。前半は日陰がほとんどない車道を歩き大量の汗をかき先が思いやられたが、「大多摩ウォーキングトレイル」に入った後半は日陰で水場もあり快適だった。鳩ノ巣駅に着くと西の空は黒い雲に覆われ、雷の音がかなり近くに聞こえた。私は電車が来るまで西の空へレンズを向けていたが、稲妻を見ることなく奥多摩を後にした。
滝と沢では水の音、森ではセミの鳴き声が耳に残る正に真夏の一日だった。