インプレッション
線と光の間を行き来しながら──
広角レンズで捉えるヘルシンキの建築空間
CONTEMPORARY
15mm F1.4 DC
by クリスト・ヴェデノイヤ|Kristo Vedenoja
広角レンズは、私の世界に対する見方を変えました。何かひとつの対象に集中するのではなく、空間全体やその奥行き、スケール感、構造そのものにも意識を向けるようになり、それが、私を建築写真へと導いた最初のきっかけでもあります。
Sigma 15mm F1.4 DC | Contemporaryでの撮影にあたり、私は最も強く「ヘルシンキらしさ」を感じられる場所を選びました。ひとつはヘルシンキ大学図書館、もうひとつはヘルシンキの地下鉄です。光に満ちた穏やかな空間であるヘルシンキ大学図書館と、エネルギーにあふれた地下空間である地下鉄は、まったく異なる表情をもちながら、いずれも豊かな建築的個性を備えています。視覚的にも感情的にも、何度訪れても惹かれ続ける場所です。
私はヘルシンキ大学の図書館から撮影をはじめました。ここは、訪れるたびに新たな発見を与えてくれる場所です。
やわらかな陽光がふりそそぐ開放的なアトリウムはまるで彫刻作品のような佇まいを見せ、白い螺旋階段は視線を上へと導く印象的な視覚軸となっています。ここでの広角レンズによる撮影はごく自然に感じられ、空間の高さや広がり、手すりが生み出すリズム、そして階段の曲線の優美さを強調することができました。
このレンズを使い始めて印象に残ったのは、手に馴染む自然な感覚です。コンパクトで美しく、確かな堅牢性が安心感を与えてくれます。絞りリングの心地よいクリック感も、撮影体験をさらに心地良いものにしてくれました。サイズが小さいため、カメラを手に建物の中を移動しても周囲の視線を気にすることなく、撮影に没頭することができました。
続いて、より厳しい条件のもとでレンズの性能を確かめるために、地下鉄の駅へと向かいました。
少ない光量、速い動き、そして強烈な人工照明——大学図書館とは全く異なる難しさのある撮影環境です。
この撮影では、F1.4という明るさが大きな力を発揮しました。
ISO感度を適切な範囲に保ちやすく、静止画はもちろん、動画撮影や手持ち撮影においても非常に役立ちました。
暗所でも露光に余裕があり、長時間露光を用いた表現にも安心して取り組むことができました。絞り開放から高いシャープネスを発揮する点も印象的です。
エスカレーターやトンネル、そして象徴的なオレンジ色の車両が生み出すリーディングラインは、広角レンズでの撮影のためにあつらえた空間なのではないかと思うほど、力強い構図を導き出してくれました。
今回の撮影を通して、Sigma 15mm F1.4 DC | Contemporaryの高い汎用性を実感しました。建築全体を余すところなく捉えられる広い画角でありながら、暗所にも強く、妥協を感じさせることはありませんでした。小型軽量で持ち運びやすいので、自然と撮影時間が長くなり、優れた光学性能が新たな表現への挑戦を後押ししてくれました。
また、私は自分の動きを妨げない機材の価値を強く実感しました。このコンパクトな広角レンズと小型のAPS-Cカメラボディの組み合わせはまさに理想的です。スリングバッグにすっぽり収まり、街中を軽やかに移動できました。
Sigma 15mm F1.4 DC | Contemporaryは単なる道具以上の存在として私の表現を支えてくれました。このレンズとともにヘルシンキの街を歩き、観察することで、光と線、そして動きによって形作られる空間をイメージへと変換し、創造することができたのです。