第271回
南伊豆の烏帽子山へ
/ To Mt. Eboshi in West Izu
April 07, 2021
伊豆半島の南西部、静岡県賀茂郡松崎町雲見地区にある標高164mの烏帽子山(えぼしやま)に登った。駿河湾越しに見る富士山のある風景が有名な地域だ。この日は空全体が薄い雲に覆われ、雪を被った富士山は頂上付近だけが霞んで見えた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporary
3月最後の週末、伊豆半島の南西部にある烏帽子山へ向かった。三浦半島から相模湾沿いを走り、国道1号線で箱根を越え、静岡県三島市に入ると富士山が目の前に見えていた。私は、富士山が身近で見える絶景ポイントとして知られる三島スカイウォークの入り口付近に車を停め、絵に描いた様な桜越しの富士山を撮影した。
SIGMA fp Lは画素数に余裕があるのでクロップズームを2倍に設定し、朝日に染まる富士山を大きく撮影した。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
富士山と桜の関係がいい具合に見える場所は狭い土手の上だったので、左手で手すりを掴み右手でカメラをホールドして撮影した。体勢を崩した状態でも高画素な撮影が出来たのは、コンパクトなSIGMA fp Lのサイズと電子ビューファインダーのお陰だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary
目的地である烏帽子山は伊豆半島の西南端にあり、桜と富士山を撮った三島からはまだかなりの距離があった。予報では午後から雲が多くなり伊豆半島の西南端からは富士山が見えない可能性が大きく、今日は富士山に近い三島周辺を散策してもいいかな?と少し思ったが、思い直して予定通り三島から伊豆半島の真ん中を南下し、伊豆市で国道136号を駿河湾に向かって西へ走った。道中、左手に流れる川に絵になりそうな古い橋が掛かっている光景を目撃したので立ち寄ってみた。
対岸に桜が咲く船原川に掛かる小さな木造の橋。
川の流れと鳥のさえずりに包まれ、朝の清々しい空気感と共に撮影した。
【使用機材】
SIGMA fp L, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
ワイヤーに吊られた橋を渡ると橋が揺れ、その先を歩いて行くと竹一本一本がそれぞれに存在感を持った竹藪があった。カラーモードは新しく加わったオートデュオトーンG1を選択。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary
目的地に行く前に立ち寄った2箇所の川辺りで動画を撮影した。
国道136号を西へ走り駿河湾沿いに出て海岸線を南下して行き、気になった小さな砂浜に立ち寄った。地図上では石部海水浴場と記されている砂浜に人出はなかったが、防波堤には数人の釣り人が海と向かい合っていた。露天風呂のサインを見かけたので覗いてみたが、石を積んで作られた露天風呂に湯はなく、時間が止まっているような光景があった。
石部海水浴場の夏は海水浴客で賑わうようだが、この日は人影がなく砂に埋もれそうな防砂用の竹柵が印象に残った。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
毎年5月~10月間のみ開設される平六地蔵露天風呂は石を積んで作られ、小さな地蔵が岩の上から見下ろしている。去年は新型コロナウイルス感染症対策の為開設されなかったようだが、今年はどうなるのだろうか。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
露天風呂の脇にあるオフシーズンのシャワー。
夏の到来を静かに待っているかのように見えた。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
入場無料の平六地蔵露天風呂には棚や脱衣所も設置されている。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
隣接する海水浴場に人影はなく堤防に数人の釣り人がいる穏やかな風景。圧倒的な画素数を活かしSPPで21:9の横長写真にした。物静かな空気感を伝えるには新しく加わったカラーモードのパウダーブルーがしっくりきた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporary
山の形が烏帽子の形に似ていることから名づけられた烏帽子山へ登るため、雲見浅間神社(くもみせんげんじんじゃ)の駐車場に車を停めた。烏帽子山は、御嶽山(おんたけさん)とも雲見ヶ嶽(くもみがたけ)とも呼ばれ、伊豆半島最西端の海岸に位置する凝灰岩質の岩山で、かつて海底火山にあったマグマの通り道が地上に現れた火山の根だ。この山を登ることは同時に雲見浅間神社へ参拝することになる。本殿までの図が描かれている神社の案内図によると、約130段の石段を登ると拝殿。そこから約320段の石段を登ると中之宮。さらに山道を約10分登ると本殿。本殿の少し上には展望台がありそこが標高164mの頂上と描かれている。実際は、案内図で見るよりきつく、ちょっとした山登りだった。
鳥居を潜り、急な石段を少し登り始めると御神木である夫婦松が右手に立っている。
境内は平らな場所にあると思った私の常識が覆された。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
男性が独り傾斜のきつい石段を登って行った。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
山道を登り本殿までもう一登りの所。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
本殿の少し上にある展望台から僅かに富士山が見えた。神社の案内図の下に「ロッククライミング禁止」と書かれてあったが、垂直な岩壁はロッククライマーには魅力なのだろう。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
展望台から見下ろす景色は良かったが、高い所が苦手な人は長くいたくないかもしれない。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
登りより下りに気を使った。
ここはもう登山と言っていい区間だ。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
中之宮で小休止。
生い茂る樹木で陽の光が届かない。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
烏帽子山周辺をゆっくりと旋回するトンビ。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
拝殿前の狛犬。
生息している周囲の植物を見ると南国に来たように感じる。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
石段横に立つ木の幹の穴は小動物の住処に見えるが、松ぼっくりが置かれたようにあった。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
烏帽子山を下り、国道136号沿いにある石切場の跡に立ち寄った。国道を整備する際、村の入口にあった墓や塔や石仏を移転し今は霊廟(れいびょう)として利用されている。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
海岸に突き出るように突起している烏帽子山。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
烏帽子山から下りた後、国道136号線を8kmほど北上した松崎町でレトロな建物を見かけた。この町には、壁面に四角い平瓦を並べて張り、継ぎ目を漆喰でかまぼこ型に盛り上げ、保温、防湿、防虫、火災、盗難予防、防火、防風の目的で造られた「なまこ壁」を使用した建物が残され、帰り際にちょっとだけ立ち寄るにはもったいない町だった。
那賀川に掛かるレトロなときわ大橋。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
橋には桜が描かれ、川沿いには桜が咲いていた。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
電気屋?として営業していた商店にも「なまこ壁」が見られた。
【使用機材】SIGMA fp, SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
この日空は薄い雲に覆われ、残念ながら伊豆半島の南西部からは富士山がよく見えなかったが、周辺には歩いてみたいハイキングコースを幾つか見つけた。富士山がよく見える晴天の日、この辺りを歩く自分をイメージして帰路に付いた。