第214回
久しぶりに dp3 Quattro でブラブラ
December 08, 2021
【使用機材】 SIGMA dp3 Quattro
最近「SIGMA dp Quattro」シリーズが人気だという。「SIGMA fp」シリーズを手に入れた人たちがズブズブとシグマ製品の底なし沼にはまり、その過程で「Foveon」センサーの魔力を知って「SIGMA dp Quattro」シリーズを買い求めているという構図も一因のようだ。レンズ交換式の「SIGMA sd Quattro」シリーズもあるが手軽なのは「SIGMA dp Quattro」シリーズである。一番ベーシックな「SIGMA dp2 Quattro」はすでにメーカー在庫がなくなってしまったほどだ。
このカメラシリーズはルックスも奇抜ながら写りもすこぶるいい。「Foveon」センサーの写りをまず味わうのに最適だと感じている。今回は久しぶりに一番好きな「SIGMA dp3 Quattro」を手にいつものフィールドをブラブラとしてみた。
と言うわけで多摩川である。シグマの本社が以前あった狛江市の和泉多摩川河川敷からブラブラと歩き始めた。ここの芝生広場には「多摩川決壊の碑」がある。1974年にこの付近の堤防が決壊して、甚大な被害を出したことを知らせるものだ。年配の人に「狛江」と言うと「ああ、多摩川が溢れたところだね」と返ってくるくらい有名な出来事である。テレビドラマにもなったほどなので日本中の人がそういうイメージなのだろう。この碑、水位が上がってくるとどこかに格納されているのだ。
【使用機材】 SIGMA dp3 Quattro
少し下流に歩くと堰がある。狛江市水神下と川崎市多摩区宿河原を結ぶ「二ヶ領宿河原堰」だ。先の水害で可動式となったこの堰は多摩川の流れをコントロールする役目を負っている。現在はメンテナンスのため、2022年2月28日までの予定でゲートが倒されており、ちょっと面白い光景が見られる。川で遊ぶ兄妹の向こうに見えるのは二子玉川だ。
【使用機材】 SIGMA dp3 Quattro
ふだんは流れの下になっているところから見上げる光景はなかなか興味深い。この河川敷のランドマークとなっている大きなヤナギの木が色づいていた。
【使用機材】 SIGMA dp3 Quattro
「SIGMA dp3 Quattro」は35mm版換算75mm相当の画角だ。もちろん手ブレ補正機能などない。全ての動作はとてもスローだが、「SIGMA fp」シリーズを使っている人ならば、わずかな時間で使う悦びをわかってもらえるカメラだと思う。カラーは実に「Foveon」らしい描写だが、モノクロームもいいので試してもらいたい。
【使用機材】 SIGMA dp3 Quattro
この界隈は化石が発掘できることで有名だ。斜めに堆積している地層の境目が川の浸食で露出しているからとのこと。この日もハンマーなど採掘道具を持った家族連れを多く見ることができた。
【使用機材】 SIGMA dp3 Quattro
「SIGMA dp3 Quattro」は近接撮影も得意だ。22.6cmまで寄れるので静物やテーブルフォト撮影にも向いている。このカットは河原を歩くといつも服にくっついてくるアイツである。「LCD VIEW FINDER LVF-01」を装着しているので逆光時でも撮影が楽チンだ。
【使用機材】 SIGMA dp3 Quattro
「SIGMA dp Quattro」シリーズといえば「Foveon物件」である。このシリーズを手にして歩けば、やはり「光り物」「金属」「錆」「濡れたもの」などを探してしまう。もう変態である。でも仕方がない。「Foveon」センサーの描写力を知るにはいい被写体だからである。撮影したカットを帰宅してパソコンの大画面で見るのが堪らなく楽しいのだ。
【使用機材】 SIGMA dp3 Quattro
「SIGMA fp」シリーズユーザーが「SIGMA dp Quattro」シリーズを選ぶ場合、どれを選択すればいいだろうか。おそらく「SIGMA fp」と「SIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporary」をセットで購入した人が多いと想像しているので、焦点距離で被らない「0」「1」「3」(すでに「2」は在庫がないし)のどれかだが、個人的には「0」か「3」がオススメだ。画角が面白いし何よりレンズのキレ味が最高だからである。
【使用機材】 SIGMA dp3 Quattro
ブラブラと歩き、東名高速道路までやってきた。本線上を走っているとキレイな道路に見えるが、外から見るとかなりくたびれている。もう開通から50年以上経つので当然か。現在は修復作業の真っ最中だ。その仮囲いも「Foveon物件」であろう。
【使用機材】 SIGMA dp3 Quattro
多摩川沿いにあった水位表示計を撮った。色褪せた表示とかすれた塗装。そして壁面の描写と苔の精細感。まさに「Foveon物件」である。こういうのをキャプチャーしてブラブラするのが楽しい。
【使用機材】 SIGMA dp3 Quattro
日が傾いてきた。「Foveon」センサーにとって辛い時間帯がやってきた。「SIGMA fp」シリーズと違って暗所性能が高くないからだが、被写体が際立ってくるのがこの頃からなので仕方がない。地面に置かれたヘルメットの質感が堪らない。
【使用機材】 SIGMA dp3 Quattro
ヴィンテージのピックアップトラックを見つけた。もの凄い存在感である。走る「Foveon物件」だ。「Foveon」センサーを搭載する「SIGMA dp Quattro」シリーズならそれを余すところなく捉えることが可能なのだ。もちろん6,100万画素を誇るフルサイズミラーレス一眼カメラ「SIGMA fp L」でも圧倒的解像感でそれが可能だが味わいが異なるのである。シグマファンならばやはり「Foveon」センサー機を手にしたい。
【使用機材】 SIGMA dp3 Quattro
というわけで「SIGMA dp3 Quattro」を手にブラブラと歩いたが、やはり「Foveon」センサー機は面白い!と実感した。そこには「作法」のような撮影する上での注意点もあるが、リアル感あふれる描写を手に入れるためのイニシエーションだと思って欲しい。FFF(フルフレームフォビオン)が不透明な現在、まだ新品が手に入る今がチャンスだろう。