シグブラ
第40回:初秋の浦賀ブラブラ

初秋の浦賀ブラブラ

Septembre 10, 2014

夏の暑さも一段落し、そろそろ秋祭りの季節だ。そういえば以前お祭りを撮らせてもらった人に写真を渡しに行かないと、と思い出し京浜急行でその場所、浦賀に向かった。今回は自分が講師を務めるiPhone写真教室の生徒2名を引き連れてのブラブラである。この二人はシグブラ写真展の時に SIGMA dp2 Quattro を購入したのだが、本格的なカメラはほぼ初めてという。ちょっと責任を感じているので(笑)レクチャーを兼ねてのフォトウォークになりそうだ。

浦賀の街は二週間後に控えた祭りの準備で賑わっていた。町内会館では御輿の仕上げ作業が、駐車場では山車の組み立てが行われている。作業をしている人たちの表情はみな笑顔だ。

祭りの舞台となる神社に立ち寄る。願掛けの絵馬が海からの風でかすかに揺れていた。いろいろな人の様々な願いが触れあって音を立てる。石段を登って振り替えると、ドックヤードの向こうに浦賀の細長い入り江が見えた。

海沿いから一本入った通りをブラブラと歩く。旧い商店や民家の造りが興味深い。ちょこちょこと撮影していくと、もう一つの神社でお祭りの打ち合わせをやっていた。そこで写真を渡す人を発見し、無事CD-Rに焼いた前回の祭り写真を手渡すことができた。御礼にと缶チューハイを戴いた(笑)。

その後も SIGMA dp2 Quattro ビギナーの二人と撮り歩く。路地裏、神社、漁港、船など貪欲にシャッターを切った。浦賀の街はどこを切り取ってもフォトジェニックに感じる。二人にいろいろとレクチャーをしながら進む。

小腹が空いたので対岸に渡し船で渡ってランチ休憩とした。二階に面したテラスで海風を感じながら三浦の食を愉しむ。これもフォトウォークの醍醐味のひとつ。

食事の後も観音崎方面に向かって撮り歩く。団地と漁港、という面白い風景もここ界隈ならではの眺めだ。日が傾き、陽の光が色づいてきた。絞り優先オートで撮っている SIGMA dp2 Quattro のシャッタースピードがどんどんと遅くなっていく。季節が変わるのは早い。

ときおり堤防の上に登って景色を楽しむ。目の前に拡がるのは団地と海と対岸の房総半島だ。しばらく眺めていると、浦賀水道を大型船がひっきりなしに通過していくのが分かる。さすが東京湾の入り口である。

同行の二人の歩みが遅くなってきた。どうやら歩きすぎたらしい。少しペースを落とすことにした。堤防を越えてくる風が冷たくなってきて、そろそろ日没が近くなったことを知る。

目指していた灯台は諦めてそろそろ帰ることにしよう。二人も撮影を楽しめたようで一安心だ。薄暗くなってきた漁港の前でバスを待ちながら、次のブラブラはどうしようかな、と考えたのであった。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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