シグブラ
第146回:“70-200mm持って東京駅周辺ブラブラ

第146回:70-200mm持って東京駅周辺ブラブラ

February 14, 2019

待ちに待った「SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports」が登場した。ズーム全域でF2.8という明るさを誇り、その名のとおりスポーツから風景、スナップ、ポートレートまで卓越した描写を見せてくれるレンズに仕上がっている。このレンズを「SIGMA sd Quattro H」に装着して東京駅周辺をブラブラと撮影に出かけてみた。
SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports」の誕生によって、「SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art」、「SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art」とで「大三元F2.8ズーム」体制が確立した。この3本があれば、広角から望遠までひととおりの被写体をカバーする撮影が可能になったのがうれしい。
使い勝手と写りも上々だ。まず造りが素晴らしい。マグネシウム合金(シグマ自慢の新工場のおかげだ!)をふんだんに採用し、ガッシリとした剛性感と緻密感あふれるレンズ鏡筒となっている。ロック機構付きレンズフード、アルカスイス互換の三脚座、防塵防滴仕様など装備もぬかりがない。また約4段分の手ブレ補正機能も実にいい。「SIGMA sd Quattro H」のEVFをのぞくと、被写体がピタリと静止するのがよくわかる。これに高速なオートフォーカスが加わり、FLDガラス9枚、SLDガラス1枚、合計10枚の特殊低分散ガラスをおごった光学系とともに、上質な描写を提供してくれるのだ。春の気配が何となく感じられる東京駅周辺だが、ヌケ感と高精細感が両立したブラブラスナップ撮影が楽しめた。このレンズをフルサイズ Foveon 機で使うのが今から楽しみである。そろそろ「CP+ 2019」の開催だが、シグマブースで実際に手にしてみて欲しい。

SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports」は「大三元F2.8ズーム」の最後発だけあって写りはサイコーである。日比谷公園の歴史ある石垣、そしてそこに残った木の根、泳ぐカモまで克明に写しとってくれる。他マウントでも素晴らしい描写を見せてくれるが、やはり Foveon センサーでこの写りを味わいたいところである。

このレンズはルックスもサイコーである。マットな仕上げのレンズ鏡筒はシブく撮り手をやる気にさせてくれる。指がかりのいいズームリングとフォーカスリングはトルク感もちょうどいい。そして手前がラバー加工されたレンズフードは確実なロック機構付きだ。カメラに装着するだけで「アガる」気がする。写りも繊細かつダイナミックだ。

F2.8通しのズームレンズなので開放域が注目されるが、このカットのようにグッと絞り込んでも安定した描写をしてくれるのが心強い。歴史あるビルディングの装飾をメリハリ豊かに写しとることができた。

約4段分の効果を誇る手ブレ補正機能も大きな魅力のひとつだ。低速シャッター時の手ぶれ軽減効果はもちろん、通常のフレーミング時においてもその効果を発揮してくれる。CP+ 2019 では「SIGMA sd Quattro H」のEVFをのぞいてその効果を実感して欲しい。

SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports」と「SIGMA sd Quattro H」のマッチングは良好だ。ヌケ感がある高コントラストな絵が気持ちいい。まるでライトボックスを使ってポジフィルムをルーペで見ているような感覚なのである。ブラブラと東京駅周辺を撮り歩いたが、重量バランスもなかなかいい。もし動きものを多く撮影するフォトグラファーであればパワーグリップ「PG-41」を装着するといいだろう。縦位置も安定感が高まる。

色再現性もいい。Foveon センサーならではのパワフルで訴えかけてくるような色のりを味わえる。「SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports」は陽光をダイレクトに、しっかりとセンサーに導いてくれる。

使えば使うほどにこのレンズが気に入ってきた。指先に伝わるズームリングのトルク感、鏡筒のマットなフィニッシュ。微動だにしないファインダー像。そして撮影後に PC で確認したときの美しいボケ味と色再現性、解像感。素晴らしい!

このレンズは「Sports」というネーミングが与えられているが、写りは「Art」レンズそのものである。深く上質な描写はまさにそれだ。おごられたマグネシウム合金やAFファンクションボタン、防塵防滴構造、撥水防汚コート、全方向の流し撮りに対応する Intelligent OSが「Sports」レンズたる所以である。

すぐそこまでやってきているフルサイズ Foveon 時代。それを見据えて「SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art」、「SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art」、「SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports」を揃えることは必須になるだろう。今すぐこの3本を買って、マウントコンバーターで「Lマウント」に対応するもよし。マウント交換サービスに出すのもよし。もちろんネイティブなLマウントレンズを待つのもよし。我々には多くの選択肢がある。うれしいではないか。

SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports」を持って最後に訪れたのは写真家・大門美奈氏の個展会場。数々のプリントを拝見したのちに、作品を背景に憂い気な表情を撮らせてもらった。彼女もフルサイズ Foveon 機が楽しみだとのことだ。 CP+ 2019 のシグマブースは要注目である。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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